2023年、ロゴデザインのトレンド -最近のロゴに使われているデザインテクニックのまとめ
Post on:2023年6月22日
デザインの引き出しを増やすためには、トレンドを押さえておくことは大切です。
デザインの基本となるタイポグラフィ、カラー、形などの要素が詰まった、最近のロゴデザインに使われているトレンド、デザインテクニックを紹介します。
2023 Logo Trend Report
by BILL GARDNER
下記は各ポイントを意訳したものです。
※元サイト様にライセンスを得て翻訳しています。
- 2023年、ロゴデザインのトレンドの傾向
- 花々を新しい解釈でデザイン「Wildflowers: ワイルドフラワー」
- 存在感のある流体の形状「Bloblend: ブロブレンド」
- 焦点の合った要素と合っていない要素をブレンド「Fades: フェード」
- 三次元の形を表現する「Foreshort: フォアショート」
- 上昇を表現する新しいデザイン「Thrust: スラスト」
- 自然界の神聖な数式から生まれた形「Spirals: スパイラル」
- 音の新しい表現方法「Sonics: ソニック」
- モノラインの美学「WireForms: ワイヤーフォーム」
- ラインの端にボールを付ける「BallCaps: ボールキャップ」
- 文字と記号の融合「NameFills: ネームフィル」
- 文字の形にフォーカスした「Stretchers: ストレッチャー」
- 文字の切れ目を自由にデザイン「NeoStencil: ネオステンシル」
- 小さくても特別な輝きを放つ「HalfAster: ハーフアスター」
- 関係性を表現する新しいデザイン「Double Os: ダブルオー」
- バッジの形を超えた、かわらないおいしさ「Ritz: リッツ」
2023年、ロゴデザインのトレンドの傾向
ロゴのトレンドは何もないところから突然現れるものではなく、特定の条件下によって発生するものです。常に予測できるわけではありませんが、注意を払っていれば、出現する特定のパターンに気がつきます。
私は長年に渡り、ロゴのトレンドに注目してきました。そして、ロゴのトレンドが現れるときに存在するパターンや特定の条件に気づくようになりました。ロゴは何もないところから現れるものではなく、既存の条件や背景もありません。
背景とは、特定の文化的な動きや瞬間だけでなく、ツールやテクニックも含まれます。AIという寒冷前線の到来は多くのクリエイターの背筋を凍らせていますが(Adobe Illustratorではなく、人工知能のことです)、AIは無視したり逆らったりするのではなく、どうすれば共存できるのかを理解することが重要です(風に向かって唾を吐くようなことはしないでください)。
このレポートを作成するために、毎年送られてくる30,000点以上のロゴの意味を理解するのは簡単な仕事ではありませんでした。これは私自身と優秀なデザイナーの幹部にとって、大規模な対戦ゲームのようなものです。最初に60-70個のクラスタを抽出し、その中から大きな影響をもつ15個のクラスタに分割しました。
このトレンドレポートは、デザイントレンドの軌跡を膨大な時間かけて調査することで、貴重な洞察を提供し、わたし達を前進させるために振り返るものです。どのトレンドが私のお気に入りかということを伝えるものではなく、「現状」を整理し「なぜそうなのか」を説明するために、整理したものです。
また、トレンドとトレンディは同じではないことを覚えておいてください。トレンドとは方向性、つまり何かが進む可能性がもっとも高い方向です。トレンディはより儚いものです。著名なデザイナーであるTom Geismarの言葉に「最先端ほど早く鈍化するものはない」とあります。
この2023年のレポートでは、さまざまな円形が中心的な役割を果たしていますが、独自のひねりが加えられています。また、フォントも不遜なものへと変化していくソリューションが多く見られます。今年のトレンドは、テキストを向上させて差別化するものばかりです。
去年は大量のピンクを見かけましたが、今年はグリーンとブルーです。もちろんある時点で目に見えるすべての色が限界に達し、パレットが提供する枠を超えて目を向けなければなりません。そこで二色性箔が登場し、その可能性に目を奪われます。
シンボル(特に幸せな顔、城、キノコ、目、旗など)はどこにでもあるものですが、シンボルはそれが生まれた背景があってこそ強くなることを留意する必要があります。今年のトレンドは有形・無形を問わず、わたし達を魅了しました。ワイルドフラワーはバラの香りに誘われ、ソニックは立ち止まって耳を傾け、フェードは現実感覚を変え、わたし達の目を試します。
トレンドのレポートに入る前に、私は30,000点以上のロゴを徹底的な分析を通じて発見したことを報告しているだけであることを覚えておいてください。気象予報士が言うように、予報を保証することはできません。そして、デザイナーが次にトレンドをどのような方向に導くかを常に予測できるわけではありません。だからこそ、私は常にアンテナを張り巡らし、楽しみながら仕事をしています。
トレンドの流れを見るのも面白いと思うので、過去分も。
- 2022年のロゴデザインのトレンド
- 2021年のロゴデザインのトレンド
- 2020年のロゴデザインのトレンド
- 2019年のロゴデザインのトレンド
- 2018年のロゴデザインのトレンド
- 2017年のロゴデザインのトレンド
- 2016年のロゴデザインのトレンド
- 2015年のロゴデザインのトレンド
- 2014年のロゴデザインのトレンド
- 2013年のロゴデザインのトレンド
- 2012年のロゴデザインのトレンド
- 2011年のロゴデザインのトレンド
- 2010年のロゴデザインのトレンド
- 2009年のロゴデザインのトレンド
- 2008年のロゴデザインのトレンド
それでは、2023年のロゴデザインの15個のトレンドを見てましょう!
花々を新しい解釈でデザイン「Wildflowers: ワイルドフラワー」
スクラッチおよびスニフ業界が復活を遂げるには、ユーザーの想像力と購買意欲をかき立てるこの豊かな花々が必要です。
ナチュラル、ホリスティック、ヘルスなどを連想させるこの植物成分は、かつてはハイビスカスティーや咳止めドロップに限定されていました。2022年の飲料業界では新規参入する市場の半数以上が、花の成分をフレーバートーンに記載しています。健康、美容、レクリエーション業界における他の葉やつぼみや花びらへの熱意とその結果としての利点は、デザイン業界においても同様に意識が高まっています。デザイナーたちは熱意をもってこの課題に取り組み、嗅覚を目覚めさせるような贅沢なビジュアルブランドを作り上げています。
花の解釈は、識別性の高いものから漠然としたファンタジーなものまで多岐に渡ります。かつては背景を埋めるために月・ハート・星などが使用されていましたが、今では葉・つる・あらゆる種類の花が描かれています。これらのロゴが花のエレメントを主役にするか脇役にするかは別として、デザインの美学を高めていることは明らかです。パペルピカド(飾りの切り絵)、写真で装飾されたリボン、手描きのバッジなどはこのトレンドがいかに多様化したかを示しています。ちなみに、上記のロゴはいずれも花屋のものではありません。
存在感のある流体の形状「Bloblend: ブロブレンド」
直角や完璧な角丸や正確なシンメトリーなどの幾何学的なソリッドマークに対抗するために、時には警戒心を解き放つことが必要です。
完璧なロゴは「完璧」を物語りますが、正直なところすべての個人とブランドの関係が完璧の上に成り立っているわけではありません。そんな中、非常にリラックスされていて非常に親しみやすいロゴが登場しました。このロゴには優れた象徴性、プロポーション、ポジティブ・ネガティブな空間的関係を備えたスマートなデザインがあります。流動的でありながら、すべてがロゴとして独自の存在感を示しています。あなたのロゴがハニーベアのスクイーズボトルで描かれたように見えるなら、このトレンドに入ったと言えるかもしれません。
液体のような外観は、期待するブランド体験の自発的な性質や柔軟性をよく物語っているかもしれません。フォーマルな壁を打ち破りたい、ナチュラルまたはレジャー志向のプロダクトによく使用されます。ゆるすぎるペルソナに対抗するには、タイポグラフィやコンテキストに応じたグラフィックを使用して、ブランドが左脳にあることを消費者に確信させるために構造を持たせることができます。また、このトレンドにぴったりな字形を備えたフォントも数多くリリースされています。
焦点の合った要素と合っていない要素をブレンド「Fades: フェード」
ある国際調査で「自分の五感で、最も失いたくないものはどれか」という質問がありました。
調査の結果は、視覚が70%、聴覚が8%、嗅覚・触覚・味覚がそれに続きました。おそらく視覚を維持することを支持して100%と回答するデザイナーがいても不思議ではありません。私が特に印象に残ったのは、ほとんどがメガネをかけているか、何らかの矯正視力を持っているということです。前世紀までは人々の大部分がピントの合わないまま生活していたことを忘れているのかもしれません。すこし回りくどくなってしまいましたが、このトレンドは直感に反して、消費者の視力を試すあるいは挑戦するものです。
Blurryのロゴは、どこをつかめばよいか分かっていれば美しいデザインです。焦点が合っていないオーブが匿名性によって音楽アーティストをリンクする同名アプリを物語っています。賢い考え方ですね。このエフェクトを採用しているロゴの多くは、焦点の合った要素と合っていない要素をブレンドすることで対比や変化させ、明瞭さを表現しています。ブランドへの用途としてはスローモーションで経過を明らかにすることで、フォーカスがストーリーを語るという優れた使い方もあります。
三次元の形を表現する「Foreshort: フォアショート」
デザインを掴んだり、転がしたり、回転させたり、伸び縮みさせたりしてこのような三次元の形を表現できると思っていましたが、私にはできませんでした。
一点透視図法、二点透視図法、三点透視図法は、ブルネレスキまで存在しませんでした。イタリアのこの天才建築家が1400年代初頭にこのコンセプトを発案し、焚き火のようなものに変化しました。私はパースペクティブを使用して視点を与えようとしただけなのです。デザイナーは何世紀も前に人類を驚かせたのと同じ原理を多用しています。二次元の平面上で見慣れた対象が空間に揺れ動き、突然その場所の感覚を生み出すことは当時魔法だと思われていました。
これらのロゴは映画のようなドラマを感じさせ、わたし達を驚嘆させることはないもののじっくりと考えさせます。空間と時間、あるいは連続的に存在するあらゆるものを示すのに役立ちます。また、見る人の視点を確立するものでもあります。ロゴは頭上に迫ってきたり、置き去りにするかもしれません。Jodrell Bankのロゴには凹型の皿があり、形状と空間の感覚を与えています。このような方法でテキストを変形すると、長いテキストでもコンパクトになり、扱いやすいシンボルになることもあります。今回集めたロゴは文字ばかりですが、文字は必須ではありません。
上昇を表現する新しいデザイン「Thrust: スラスト」
大部分のデザイナーには、下降気味なクライアントはほとんどいません。
大多数の人は会話の冒頭で「自分のビジネスは順調です」と言うでしょう。利益が増加し、顧客も増加し、売上も増加し、彼らの世界の大部分は上昇傾向です。ブランドストーリーを構築する上でもっとも価値があるのは、彼らの未来が向かう方向を超えてベンチャー企業の重要な部分を共有し始めるときです。とはいえ、「今年はいい年になりそうだ」と気分を高揚させるロゴが必要になるときもあります。運勢の上昇に対応するための課題の一つは、決まりきった矢印が過剰に利用されることです。今年はその上昇をより新鮮な形式で表現するトレンドがあります。デザイナーは方向性を示すだけでなく、同時に達成の速度も示す機会を得ました。
上向きの三角形は直線で構成され、主要なメッセージとして一連の推進力を示しています。ラインはプロセスやステップを示しており、加速や安定の印象を与えます。また、各ステップに変化をつけて強度を示すこともできます。このトレンドが長続きし、すべての人が上昇気流になることを願っています。
自然界の神聖な数式から生まれた形「Spirals: スパイラル」
1170年、イタリアの少年レオナルドはアルジェリアを訪れ、アラビア数学に関する論文を書いて帰国しました。
ヨーロッパでは大陸が採用していたローマ数字の代わりに、1 2 3 4 5を採用しています、さすがレオ。さらにオウム貝の殻が螺旋を描く理由を明らかにし、他にも数千の自然の謎を解明する数列も定式化しました。彼の姓はボナッチですが、1800年代の歴史家は彼をフィリウス・ボナッチ、つまり「ボナッチの息子」と呼んでいました。レオナルドはこの名前を聞いたことがなく、また、この名前が現在のフィボナッチと略されるようになるとも思っていなかったでしょう。フィボナッチ数列を生み出した偉大な数学者。トレンドと歴史の勉強、、、メモしておいてください。
デザイナーがこの話を取りあげるのは、1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21という数列、前の数字に加算するこの小さな方程式がどれほど重要であるかにあります。デザイン的にはそれが黄金比を定義し、原子から天体までの自然を理解するのに役立つことを考えれば、ロゴのデザインにも役立つはずです。螺旋はオウム貝の断面を連想させます。このような自然界の神聖な方程式から生まれた形は、シンプルな美しさで深みを表現することができます。ゲノム配列やEDPの風力など無限のエネルギー源を表現するような複雑なコンセプトも簡単に実現できます。エレベーターピッチにフィボナッチを取り入れたクライアントからは、きっとボーナスポイントをもらえることでしょう。
音の新しい表現方法「Sonics: ソニック」
立っていたら、何の前触れもなく、マッハ1のスピードで何かがぶつかってきたと想像してみてください。
音速の速さで、まだあなたは生き残ることができます。わたし達の生活のあらゆる瞬間で音は時速761マイル(ソニックの最高速度)で襲いかかりますが、その音波はわたし達には見えません。音波はコミュニケーション、教育、魅了、刺激、抹殺などあらゆることを可能にします。そのため、音を目に見える形で表現しようとすると、正弦波やイコライザーに頼りがちです。もちろん、これらはすべて素晴らしいものですが、それでも音がどのようなものなのかは分かりません。単に数式で音を測定しているにすぎないからです、これでは曲の良さも半減してしまいます。
これらの測定デバイスに傾倒することが、このトレンドへの道筋であるように思われます。マーケティングにおいて、音が果たす役割が大きくなっていることを考慮すると、デザイナーが新しい表現方法を採用するのも当然と言えるでしょう。今年はロゴからブランドパターンを支えるフィールドに至るまで細い線状のフォルムで複数のうねる正弦波があちらこちらで見られます。スケーラビリティはまだ課題ですが、波線と波線の間を埋めることでその障害を克服するのに十分な表面積を持つものが多くなっています。また、イコライザーも同様に使用されており、新しいものではありませんが、新たな表現で使用され続けています。消費者が共感できるからといって、陳腐な表現に固執してしまうのが現実です。確かに、新鮮な視覚的解釈はほんの数ステップで実現できますが、目に見えないものを見えるようにするのは難しいものです。
モノラインの美学「WireForms: ワイヤーフォーム」
不作法という言葉は、ひどく誤解されている概念だと思います。率直に言って、多くのデザイナーが頻繁にそして大きな誇りを持って身につけているバッジです。
不作法とは、境界線を試すことであると解釈したほうがいいかもしれません。進歩とは既知の境界線を押し広げることで定義されることが多く、事実上それが進化の定義と言えます。このトレンドはデジタルツールキットの現れであり、デザイナーは完全にありふれたソリューションのベゼルポイントをつかんで引っ張り、新しい次元に引き伸ばすことができます。別の言い方をすると、境界線を再定義しています。DNA処理の再構築に取り組むEncodiaのロゴは、大文字のEの輪郭を形取り、その左面を右の2刻みに移動させています。プレスト! 基本情報の再構築です。
このようにスタート地点のアウトラインをシンプルに変更することで、消費者に人生のスタート地点を知らせます。これはブランドストーリーを説明するのに役立ち、行動や変化のプロセスを伝えます。このトレンドのほとんどはモノラインの美学で作成されており、境界線が互いに引っ張られることで立体的な性質を持つことからワイヤーフォームと名付けられました。交差はこのトレンドの特徴であり、ソリッドな形状を線が収束するところで繋がった一覧の形状へと変化させます。MDESのロゴもこのトレンドに属し、塗りつぶされた形として同様に機能することに注目してください。ストーリーを理解し、境界線を試すことを気にしないクライアントにとって非常に魅力的なソリューションです。
ラインの端にボールを付ける「BallCaps: ボールキャップ」
過去10年間モノラインデザインの導入と普及、そしてそこから生み出されたさまざまな製品ほどユビキタスなトレンドはおそらくありません。
モノラインの魅力は、その継続的な進化にあります。このトレンドは直線的な有刺鉄線にボール状のチップが付けられていることに気がつくでしょう。ラインは回路基板の言語を超えて進化し、ボールは目的地であり出発点でもあり、最終的な目標であることも伝えています。ラインは結論に至るために使用される道筋にすぎません。
これらのロゴの多くは反復的な線形要素の密集したフィールドを使用しており、ラインの片端か両端にボールが付けられている区別はほとんどありません。先端が球状になっているのは、むしろ終結を意図しているように見えます。また、線画を控えめに使用し、片方だけボールを付けるロゴもあり、方向や動きを示す飛行機雲や尾翼が続いているようにも見えます。主題としてボールにフォーカスを当てるのか、それとも行動としてラインにフォーカスを当てるのか、メモをしておきます。
文字と記号の融合「NameFills: ネームフィル」
このトレンドは、二つの考えを持つデザイナーに救いの手を差し伸べます。
文字も好きだけど、どうしても記号を作成したいと考えている人、あるいはその逆の人かもしれません。なぜ両方をやらないのですか? わたし達は形や記号を作りながら、さまざまな方法で文字を使用できます。文字を盛り付ける皿としてシンプルなイラストを採用する人もいます。文字も記号も単体では強くないかもしれませんが、マッシュアップすることでうまく機能します。文字と記号を融合させることで、重要な情報がすべて自己完結し、ロックアップを考慮する必要がなくなります。ワードマークと一緒にタグを処理するのが面倒だと感じている人やその逆の人にとってありがたいことかもしれません。
Elevatorのロゴのように、活躍の場を一掃したものもあります。エレベーターの階数表示器の形状は、文字を入れるのに理想的なパッケージです。また、ValkyrieのロゴはV字のリボンの中にすっきりと文字が収まっています。どちらもシンボルまたは活版印刷のロゴとして独自のものを保持しています。Coffee Brothersのロゴは文字だけで形を表現しており、率直に言って私はこれを気に入っています。また、このロゴを小さいカップにつけると、カフェイン中毒のユーザーに小さい文字を読ませることになります。無添加でありながらよく考えられたタイポグラフィ、そしてシンプルな形状のメッセージを使用したこのトレンドは適切な範囲だと思います。
文字の形にフォーカスした「Stretchers: ストレッチャー」
視覚的なストーリーを伝え、大胆なストロークが飛び出してくるようなしっかりとした小さなシンボルであるロゴを私は大好きですが、時代は変わりつつあります。
メッセージやブランドストーリーを伝えるために文字の形にフォーカスが当てられると、シンボルがチームにとって背負ってきたかもしれない荷物を文字の形が引き受けなければなりません。文字の形による表現が重要になってきており、デザイナーはそれを証明するために自分自身と文字の形に力を入れています。それは今までの延長戦に過ぎないかもしれないし、別のものかもしれません。これらの取り組みは控えめな微調整からはじまり、多岐に渡ります。
Onomaのロゴは同じ文字が複数ある単語で、重複を避けるためにペアの1つを変更するというこのトレンドに対する別のアプローチを示しています。Oの文字が2つあり、幅が異なることに注目してください。こういった調整は目的を持って行われるものであり、単に思いつきでやっているわけではありません。クライアントに関連するプロダクトやプロセスを表現していることもあり、標準的なテキストのリズムが崩れると、わたし達の目はそこに引き寄せられます(いい意味で)。最後にこのストレッチが効いたデザインは、消費者が見出しから外れた言葉と由緒正しいロゴの違いを認識するのに役立ちます。
文字の切れ目を自由にデザイン「NeoStencil: ネオステンシル」
ステンシルキットを持って縁石に描いている子供を除くと、私はあまり気にしたことがありませんでした。
ステンシルは17世紀の発明で、主に礼拝堂内の典礼通路を描くために使用されました。OやA、PやD、RやQなど浮き輪のような字形の隙間はアーティストが少し気を遣って埋めてくれますが、それは一括して整えることです。文字の形に必要な隙間は最小限にとどめ、どのフォントでも同じ位置に目立たないようになりました。さらに言うと、ステンシルを模した最初の印刷用フォントは、1930年代まで登場しませんでした。印刷機で使用される活字には区切りの必要がないのに、なぜわざわざ区切る必要があるのでしょうか?
このトレンドは、当たり前だと思っていたルールを破ることです。デザイナーとして、わたし達は文字が消費者の頭の中で形成される言葉や印象を理解しています。ステンシルは産業、建設、一般個人、草の根的な活動を表す視覚的な略語です。これは今もなお、一般人が連想する言葉として根強く残っています。このトレンドでは文字の切れ目の位置と理由を自由にデザインしていることに注目してください。古い慣習は捨てられ、シンボリズムは残っていますが、新しくなった休憩箇所が新しいストーリーを語り、視覚的な牽引力になっています。Pentagram Cohereのロゴは視覚的なブランディングが特に効果的です。生物学的な分裂を反映した文字は可変レスポンシブフォントが作られ、Cohereの努力を反映しています。初期のステンシル職人達が文字の区切りを残していたのと同じように、わたし達はここにたどり着くことができなかったかもしれません。
小さくても特別な輝きを放つ「HalfAster: ハーフアスター」
アスタリスクは、デザインの中で最も信頼されているシンボルの一つです。
わたし達は思いつく限りのあらゆる反復において、大胆にそれらをロゴに組み込んだり、特徴づけたりしています。色や点数には決まりがなく、真ん中で交わるものもあれば、そうでないものあります。太かったり細かったり、親しみやすかったり鋭かったり透明感があったり、正直なところ想像しうる限りのあらゆる雰囲気のアスタリスクがあります。非常に幅が広いので、ユビキタス俳優と言えます。アスタリスクは特別な注意を払うもの、あるいは欠けているものを示します。また、アスタリスクを半分にしてもデザイナーはその魔力がすこしも衰えないことを正しく理解しています。
このトレンドは特別な輝きや光を放つと同時に、アスタリスクが意図する「ここに注目」という魅惑的なメッセージを発信します。また、経済的な構造により、デザインの中でストロークを幅広く変更できるため、より人気がある要素となっています。このトレンドに似たものとして半分の星や半分の太陽がありますが、半分のアスタリスクはブランドストーリーに欠かせない別のプレーヤーときちんと寄り添うために半分に切り取られたものです。それはありふれた製品に欠けている輝きや使用に伴う輝きを約束するものです。アスタリスクは直訳すると「小さな星」という意味ですが、まさにこのトレンドにふさわしい言葉です。
関係性を表現する新しいデザイン「Double Os: ダブルオー」
オーブ、ボール、地球儀、惑星、月など、球状の物体はデザイナーにとって特別な引力を持っています。
これらはどれがどれを周回しているか、まだ検討の余地があるかもしれません。ダブルオーは地球と月の関係だけでなく、人間関係についてもテーマにしています。良い関係、悪い関係、共生関係、磁力関係、感情関係など、さまざまなものがあります。このトレンドの各ロゴを見ると、大きな円と小さな円に相関関係が求められています。しかし、その関係性は非常にシンプルに表現されています。デザイナーが円を使用するのは、円が多くの象徴的な意味を持っているからというだけでなく、概念的なプレースホルダーとして優れているからです。円は、消費者の心を揺さぶることのない普遍的な代表者です。
円は接触していると、より密接な依存関係を表現しているように見え、その近さによって共生の利点を表現できるかもしれません。QuartoはQの字形に注目し、文字の尾を小さなドットで表現し、大きな円の隣に接線方向に配置することで、まるで磁力で結ばれて離れないかのように見せています。他にも、支配的なパートナーの重力によって抑制された軌道上の球体のように見えるものもあります。また、細胞分裂のようにより大きな要素に合体したり分裂したりするものもあります。また、円が2つ並んでいるものもありますが、シンボルとしての意味は代わりません。意外なのは、立体的な表現がないことです、もう精霊は出てしまったので、来年は銀河になるかもしれません。
バッジの形を超えた、かわらないおいしさ「Ritz: リッツ」
大衆文化の影響やおいしいクラッカーの衝撃を過小評価してはいけません。
戸棚の奥にリッツの箱が見つからないことはほとんどありません。7つの穴がトレードマークのリッツの伝統は、1世紀以上前にさかのぼります。クラッカーの感触、サイズ、そしてその輪郭は消費者を笑顔にする心地よさがあります。その波状の縁は証明書のシールを思い出させたり、保証や公的な行為を暗示するかもしれません。しかし、このエッジはノコギリのような硬いものではなく、わたし達が触りたくなるような形です。
この形がバッジを超えて真価を発揮するのは、クライアントの象徴的なリファレンスを入れるためのコンテナとしてです。あるいは、果物や花などの断面を模した形もあります。たくさんの幸せが詰まっています。この形はわたし達の記憶に刻まれているため、見慣れたフリルの部分的な弧を見ただけで、しっくりきます。技術的なこともありますが、親しみやすさがこのトレンドの魅力です。驚くことに、このトレンドにエッジの制限はありません、見ればすぐに分かると思います。消費者の心に響くのであれば、好きだけ入れても、少なくても構いません。
sponsors