これがユーザーを欺くためのUIデザインだ! 最近のWebサイトやスマホアプリで見かけるダークパターンの知識がしっかり身につくデザイン書 -ダークパターン
Post on:2024年6月14日
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ダークパターン(Deceptive Patterns)とは、Webサイトやスマホアプリでユーザーを騙して個人情報や時間やお金をかすめ取るために設計されたユーザーインターフェイスのことです。
たとえば、いつの間にかメール配信に登録されていたり、購入時に手数料が加えられていたり、無料だと思っていたらサブスクを契約させられていたり、登録は簡単なのに退会するのは難しかったり、キャンセルがクリックしにくいようにデザインされていたり、さまざまなダークパターンが存在します。
最近のWebサイトやスマホアプリで見かけるダークパターンをはじめ、それらのダークパターンを反面教師として制作時に気をつけるべきポイントを詳しく解説したUI/UXのデザイン書を紹介します。
ダークパターンに騙されないように知識を増やしておくのにも役立ちます。
本書はダークパターンの名付け親であるハリー・ブリヌル氏の最新刊「Deceptive Patterns」(Amazon)の翻訳版、1年も経たないうちに翻訳版で読めるのは嬉しいですね。掲載例は海外のものばかりですが、ほとんどが日本でもお馴染みのサービスです。
また、巻末には長谷川敦士氏と水野祐弁護士によるデザインと法律の視点から日本におけるダークパターンの解説もあります。
Kindle版も発売されています!
版元様より許可をいただいたので、紙面のキャプチャを少しだけご紹介。
と、その前にまずはダークパターンをご覧ください。
How to enforce a feature trial?
Ask the Microsoft Notes Product Manager. pic.twitter.com/AmM8aeTS8e
— Denny Klisch (@KiwiDenny) May 10, 2024
広告を閉じる「×」ボタンは右上にホワイトで配置されており、ぱっと見では分かりません。ユーザーは閉じる方法が分からず、ずっと表示させておくか、根負けして「Try it Now」を押してしまうかもしれません。
これが、ダークパターンです。
本書は全6章で、ユーザーを欺くダークパターンについてその戦略から、さまざまなダークパターンの手口と実例、法規制について学べます。ダークパターンには意図的なものと無自覚なものもあり、特に無自覚なダークパターンはユーザーを惑わせるWebサイトやスマホアプリの設計をしないように気をつけましょう。
ダークパターンはいくつかの種類に分類することができます。
- 知覚的脆弱性を利用したダークパターン
上記の背景に溶け込んだ「×」ボタンのデザインもこれです。また、小さい文字などで認識しにくいように書かれていたりもします。 - 理解力の脆弱性を利用したダークパターン
冗長的な言い回しで書かれた既訳や条件などがあります。 - 意思決定の脆弱性を利用したダークパターン
チェックボックがあらかじめチェックされており、デフォルト効果を狙ったものなどがあります。 - 思い込みを利用したダークパターン
「×」ボタンを「いいえ」ではなく、「はい」に設定するなどがあります。 - 強制を利用したダークパターン
購入を完了するためには登録しなければならないなどがあります。
※本書では上記に加えて、ダークパターンの種類がまとめられています。
たとえば、理解力の脆弱性を利用したダークパターンでは、飛ばし読みを利用してユーザーを誘導する手口もあります。ユーザーを騙そうとしているデザインでは、重要な情報を予想外の場所に配置したり、紛らわしい見出しや視覚的階層をつけて惑わそうとします。
似ている手口のダークパターンとして、思い込みを利用したダークパターンもあります。これはたとえば、Webサイトの検索ボックスがページ上のどこにあるのか、通常は検索ボックスは右上と思っているユーザーが多いと思います。こういった思い込みを利用して、アプリのゲームで「Play」ボタンの場所をリトライするときに「評価」ボタンを配置してレビューを稼ぐといった事象もありました。
また、ユーザーに直接的な被害になるのがスニーキングと呼ばれるこっそり型です。これはショッピングカートにこっそり入れたりするもので、商品をカートに入れて会計画面を表示したら、手数料やサービス料が加えられていたりします。酷いのになると、関連?商品を勝手に追加されていたりします。また、送料が法外に高いというのもあります。
人気のFigmaにもダークパターンが潜んでいます。画面右上の「共有」ボタンをクリックすると、ファイルを共有できますが、その際に「編集可」を選ぶと新たに招待した人の分の定額料金が追加される仕組みになっています。これはメールや通委も何もないまま即座に料金が発生し、請求される仕組みになっています。
参考:
これもよく見かけるダークパターンです。期間限定でセールや値引きをしていると表示したり、カウントダウンを表示してセールや値引きが間もなく終了します、というやつです。これは切迫感を煽り、ユーザーにプレッシャーをかけて購入させようとします。もちろん、本物のカウントダウンもありますが、ダークパターンの場合は偽のカウントダウンだったり、期間限定なのにいつもやっていたりします。
最初に紹介した背景に溶け込んだ「×」ボタンのデザインもよく見かけますよね。YouTube Premiumの広告にも女性の髪に溶け込んだ「×」ボタンが配置されていました。また、他にも商品画像に髪の毛やゴミなどを配置して、ユーザーがそれを払いのけようとするときに誤タップさせようとするものもあります。
ダークパターンによって、ユーザーはさまざまな被害を受けます。個人情報を喪失したり、時間を喪失したり、お金を喪失したり、そして精神的にも被害を受けます。そして、ダークパターンにはつけこまれやすい状況というのがあります。
現在、ダークパターンに対する法整備が進んでいます。不公正な取引に対するもの、紛らわしい行為に対するもの、攻撃的な行為に対するもの、消費者保護に関するもの、どのように進められているか確認しておきましょう。
巻末には長谷川敦士氏と水野祐弁護士によるデザインと法律の視点から日本におけるダークパターンの解説。消費者保護に関する法規制や個人情報保護に関する法規制など、日本でも進んでおり、すべてのダークパターンを規制する法は存在していませんが、一定の範囲での対応は可能となっています。
ダークパターンの目次
ダークパターンの目次
ダークパターンの目次
Webサイトやスマホアプリを利用すればするほど、これらのダークパターンを目にすることが多いと思います。被害を受けないためにも、一度しっかりと学んでおくとよいでしょう。また、制作側としても、気をつけなくてはいけないポイントも学んでおきたいですね。
献本の御礼
最後に、献本いただいたビー・エヌ・エヌの担当者さまに御礼申し上げます。
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