これはかなり興味深いデザイン書! デザインを形にする表現方法・錯視調整・精緻化など、クオリティを上げるためのプロのテクニックを解説 -ロゴデザインのコツ
Post on:2023年4月21日
デザインの知識やスキルを身につけたい、デザインのクオリティを少しでも向上させたい、そんな人にお勧めのロゴの制作プロセスとデザインのテクニックがよく分かる、デザイン解説書の決定版を紹介します。
デザインのさまざまな発想方法、デザインを形にする表現方法、書体の選び方、色の選び方、バランスの取り方、錯視調整、デザインの精緻化など、プロのテクニックが詳しくていねいに解説されています。
ロゴのデザイン書ですが、そのテクニックはさまざまなジャンルのデザインにも役立つ、控えめに言ってかなりの良書です。
本書は、オリコンやソフマップなどのロゴを手がけ、20年以上プロのデザイナーとして活躍している佐藤浩二氏(@cosydesign)によるロゴデザインの解説書。著者自らが実際の仕事でデザインされたロゴ約150点をもとにロゴデザインのテクニックを詳しくていねいに解説された珠玉の一冊です。
本書は先日発売されたばかり!
Kindle版も同時発売されていますが、圧倒的に書籍版がお勧めです。
版元様より許可をいただいたので、紙面のキャプチャを少しだけご紹介。
本書はすべてのページが美しいデザインで溢れており、ロゴのデザインもそうですが、テクニックの解説も非常に分かりやすく美しくデザインされています。パラパラめくるだけで、インスピレーションが刺激されると思います。
9章構成で、巻頭のロゴの制作プロセスでは、京都の料理屋「照月」の受注から納品までの実際の流れがよく分かります。試作の過程、提案したすべてのロゴ、決定からのブラッシュアップなど、なかなか見ることができないところまで詳しく解説されています。
第1章は、発想方法。ブランドの名称が日本語の場合は、その日本語に着目することがポイントです。ひらがな・カタカナ・漢字のそれぞれに日本語ならではの造詣の美しさと意味があることがデザインのヒントになります。
文字だけでなく、具体的なモチーフを取り入れたり、抽象的な造詣に意味を込めたり、オリジナリティを持たせながら意味のあるデザインにするとよりよいロゴができます。ほかにも全部で14個の発想方法が本書に解説されています。
第2章は、表現方法。ロゴの文字や形をどのように表現するか、鉛筆で手描きしたり、筆で描いたり、さまざまな表現方法があります。本書には9つの表現方法が解説されており、リアルな質感を与えるためのPhotoshopやIllustratorのテクニックも解説されています。
第3章はロゴタイプ、書体の選び方です。欧文書体や和文書体をどういう基準で選ぶのか、字形のどこに着目するか、主要フォントの一覧もあります。もちろん、書体の使い方もたくさん解説されています。そのまま使用するのではなく、字形の調整をするとさらによくなります。
文字を美しく組むテクニック、文字を美しく見せるテクニックなど、欧文・和文ともにさまざまなテクニックがあります。
第4章は、錯視調整。数値的には均等だったり、揃っていたりしていても、目の錯覚で不自然に見えることがよくあります。たとえば、正円を半分にしたものを直線でつないだラインは、そのつなぎ目が滑らかに見えないことがあります。こういった調整をすることで、デザインに高品質感や信頼感を与えることができます。
第5章は、バランス。形の縦横比、文字と形のサイズ、スペースの取り方など、バランスを取るには黄金比や白銀比を使用すると、うまくいきます。実際のデザインにも意外なところにたくさんのこういった比率が使用されています。
第6章は精緻化、デザインの細部を細かく調整するテクニックです。可能な限りデザインを精緻化することで、デザインの精度が高まります。1pxのずれ、1%未満の色指定など、これぞプロの仕事です。
第7章は、色の選び方。最近では明度・彩度・トーンを調整した配色をよく見かけますね。ほかにも赤系統や青系統の各色についての解説、ディスプレイや印刷での色再現もあります。
第8章は、デザインでイメージを表現する方法。「信頼感をだしてほしい」「親しみやすくして」というクライアントからの要望はよくあります。同じ要素、同じ書体を使用して、どのようにこういったイメージを表現するか解説されています。
最後の第9章は、デザインのプレゼン方法とロゴの展開方法。デザインをするのは好きだけど、プレゼンするのは苦手という人もいると思います。プレゼン用のスライドをつくるポイント、説明文のつくり方、一般的なガイドラインの策定方法などがよく分かります。
ロゴデザインのコツの目次
ロゴデザインのコツの目次
ロゴデザインのコツの目次
全ページが魅力的なデザインに溢れたデザイン書でした。高品質なロゴをはじめ、デザインのテクニックをどのように使用するのか、ビフォーとアフターなどの過程も掲載されており、デザインが好きな人にかなり面白い本だと思います。
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