こういう本を待っていた! WebのUXを改善するライティングに特化された解説書 -Webコピーライティングの新常識「ザ・マイクロコピー」
Post on:2022年5月20日
マイクロコピーとは、Webサイトやスマホアプリのボタンのラベル、ボタンやフォームに添えるテキスト、エラーメッセージなどのUIデザインに使用される短いテキストのことです。優れたマイクロコピーを使用することで、入力ミスが少なくなったり、ボタンのクリック率があがったり、さまざまな効果を得られます。
思わずクリックしたくなるタイトル、迷わずクリックできるボタンなど見かけませんか? ボタンに書かれているラベル、ボタンに添えられたテキスト、これらに使われる文言はほんの少し工夫を加えるだけで、劇的な効果を発揮します。
WebサイトやスマホアプリのUIで使用する文言、ライティングのテクニックを身につけたい人にお勧めします。本書は「ザ・マイクロコピー(紹介記事)」の第2版で、内容は大幅にアップデートされています。
UIデザインで使用する言葉、ボタン、フォーム、ナビゲーションに使用する文言など、言葉の魅力でUXを改善するためのライティングについて詳しく解説されています。
Kindle版も発売されています。
版元様より許可をいただいたので、紙面のキャプチャを少しだけご紹介。
さっそくマイクロコピーを使用した改善例を見てみましょう。
クレジットカード情報・名前・住所の入力欄がある決済フォームです。このフォームを公開したところ、住所の入力間違いで約10%のエラーがでていました。解決策として、住所の入力欄の近くに「クレジットカードに登録されている請求書送付先住所を必ず入力してください」とコピーを追加したところ、エラーがなくなりました。これにより、サポートに費やしていた時間も減り、順調に収益を生み出しました。
本書は11章構成で、こういった優れた事例がたくさん解説されています。国内外のWebサイトやスマホアプリで使用されている優れたマイクロコピーの実例、A/Bテストにより裏付けされた効果実証済みの事例、またあまりよろしくない事例もくわしく解説されています。
マイクロコピーがもっとも活躍する場所は、ボタンです。ボタンのラベル、ボタンに添えるテキストなど、文言のわずかな違いによってクリック率が大きく変化します。
参考: ボタンのラベルには分かりやすい文言が重要、ユーザーが使いやすい文言の選び方
ボタンの文言ではベネフィット、どんな利益があるのかを伝えることが重要なポイントです。たとえば、Apple Musicでは無料トライアルに誘うマイクロコピー「無料で体験する」が使用されています。Dropboxでは「無料トライアル」「30日間無料でお試しください」の2パターンでA/Bテストを実施し、同じ「無料」でもどのような言葉で訴求するかによってコンバージョンは大きく変わります。
ボタンの周りにはクリックトリガーとなるマイクロコピーを添えると効果的です。クリックトリガーはユーザーの不安や懸念を和らげたり、疑問を解消して背中をあと押ししたりする効果があります。たとえば、無料トライアルボタンの周りに「クレジットカードの登録は不要です」「いつでもすぐに解約できます」と書いてあると不安が和らぎますよね。
普通のリンクのボタンにもマイクロコピーは威力を発揮します。Appleではマイクロコピーを具体的、説明的にすることで、ユーザーが探しているコンテンツに最短距離でたどり着けるようになっています。「M1が桁違いに速い理由を見る」ボタンをクリックすると、そのページにどんな情報があるのか想像できます。
ライティングの解説書によくあるのが、数字で伝えるです。本書ではマイクロコピーにおける数字の使い方は、目からウロコでした。たとえば、オンライン見積もりで「今すぐ計算する」を「1分で計算する」のようにあいまいな表現ではなく、具体的な数字を使用するさまざまな事例が解説されています。「たくさんの人が」「大幅な改善」「スピーディに発送」などをユーザーに効果的に伝えるマイクロコピーがあります。
入力フォームで見かけるのが、なぜその情報を入力しないといけないのかです。不安感や不信感を拭うためにも、このなぜを解決するマイクロコピーが必要です。たとえば、ZOZOタウンでは任意項目の生年月日に「パスワードを忘れた際に、パスワードの再設定がスムーズになります」というテキストがあり、ユーザーにとってどのようなメリットがあるか伝えています。
あまりよろしくない事例も紹介しておきます。
Amazonの事例で、「入力したクーポン番号が認識されません。」と再入力を促されます。こういったエラーメッセージの場合、「番号に間違いがあります」「番号が使用済みです」「番号が期限切れです」のようにエラーの原因を明記することがよいマイクロコピーです。
ユーザーエクスペリエンスを豊かにするマイクロコピーもたくさんの事例が解説されています。Googleの性別選択画面で以前は「女性・男性・その他・回答しない」だったのが、最近アップデートされ「女性・男性・指定しない・カスタム」になりました。「その他」や「回答しない」を選択していたユーザーに対する素晴らしい配慮ですね。
最後の第11章では、自分用のマイクロコピーを設計、改善する時に役立つフレームワークです。たくさんの素晴らしい事例だけでは役に立ちません。自サイトのコンテンツやフロー、ユーザーに寄り添ってマイクロコピーを作成する手順が分かります。
ザ・マイクロコピー 第2版の目次
ザ・マイクロコピー 第2版の目次
ザ・マイクロコピー 第2版の目次
Webサイトやスマホアプリに携わるすべての人にお勧めです。
また、ブロガーやユーチューバーなど、言葉のちょっとした使い方、並び順、表記方法などに興味がある人にお勧めです!
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