これを読むと確かなデザイン力が身につく! 「伝わる」デザインを学べるノンデザイナー向け良書 -パワーポイント・デザインブック
Post on:2022年11月11日
控えめに言って、これはかなりお勧めのデザイン書です!
レイアウト・文字・配色・イラスト・画像など、デザインの原則から応用テクニックまでていねいに分かりやすく解説されており、しかも全ページが非常に美しくレイアウトされています。
書名でパワーポイントと聞いて、関係ないかな、と思った人は大間違い。私も最初は興味があまりなかったのですが、中を見てみたら、間違いに気がつきました。本書は「伝わるビジュアル」づくりを身につけられるデザイン書、ノンデザイナーから中堅デザイナーにお勧めします!
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本書はC96の『PowerPoint Re-Master』を継承しつつ、ゼロから再構成された新刊書。全文がリライトされ、解説も大幅に増強、「誰もがビジュアル-コミュニケーション-デザインができる」世界を目指し、ノンデザイナーが「伝わる」デザインを学べる解説書です。
全ページが非常にかっこよく美しくデザインされているので、書店でみかけたら、ぜひ手に取ってみてください!
本書は昨日発売されたばかり!
Kindle版も発売されています。
電子版派の人でも中身を見たらきっと書籍版が欲しくなる一冊です。
版元様より許可をいただいたので、紙面のキャプチャを少しだけご紹介。
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本書は「伝わるビジュアル」づくりを学べるデザイン書。私はパワーポイントを使用しないので、デザイン書として紹介します。割合的には、デザインの解説が7、パワーポイントの解説が3、という感じです。
本書は7章+アルファの構成で、レイアウト・文字・配色・イラスト・画像などの7つのビジュアル要素をデザインのプロセスになぞらえた3つのステップで解説されています。
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第1章の「レイアウト」を中心に、本の中身を見てましょう。
ビジュアルをつくるもっとも基本かつ伝えるためにもっとも重要な要素が、レイアウトです。情報デザインの視点から、レイアウトの基礎知識とテクニック、応用テクニック、パワーポイントでそれを実践するためのノウハウががっつり解説されています。
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レイアウトにおいてもっとも基本かつ重要なスキルが、「揃える」です。位置を揃える、サイズを揃える、形や向きを揃える、間隔を揃える、これらを実践するとレイアウトの質は間違いなく向上します。そして、揃えることは美しさを演出することだけではありません。コンテンツが正しく「伝わる」ようにすることが本質です。
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「揃える」ことを理解したら、次のステップは「グループ化する」です。このグループ化によるまとまりがないと、情報はバラバラにレイアウトされれてしまいます。グループ化のポイントは同じ属性の情報をまとめること、そしてほかの情報と差をつけることです。レイアウトのサイズには限りがあるので、距離や色・カタチや囲み線や背景などそれぞれに適したグループ化のテクニックを使用します。
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「揃える」や「グループ化する」でうまくレイアウトをしても、グループごとにバラバラの見た目をしているとすべて独立した意味をもつようにみえてしまいます。そんなコンテンツがある時には「くりかえす」です。「くりかえす」は同じページ内で繰り返すだけでなく、ページをまたいで繰り返します。またいで繰り返すのは、たとえばヘッダとフッタとタイトルを同じ位置に配置するなどですね。
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レイアウトの重要な役目に、主役を目立たせることがあります。ページ内の要素をすべて均等に配置してしまうと、主役は目立ちません。要素の扱いに緩急をつけて、主役を目立たせます。この目立たせるには「コントラスト」です。コントラストで差をつけることでユーザーの視線が誘導され、読解の順番が明確になり、リズムを生み出します。
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レイアウトで「コントラスト」をつくる方法もいくつかあります。「サイズの差をつける」「色の差をつける」「位置の差をつける」タイトルはサイズを大きくして緩急をつけたり、画像を大きくしたり、テキストを一部だけカラーを変更したり、背景のカラーを変えたり、余白によるグループ化をしたり、コントラストをつくることができます。
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こんな感じに本書では、デザインに関する知識・テクニックがぎっしり詰まっています。ほかにもレイアウトでは、余白の取り方、レイアウトにおけるトンマナのやり方、1つの要素を配置する方法、2,3つの要素を配置する方法、複数の要素を配置する方法、複数ページのレイアウト方法、グリッドシステムなど、かなり充実しています。
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もちろん、パワーポイントでそれらのレイアウトをどのように実践するかも詳しくていねいに解説されています。本書を見ていると、パワーポイントってこんなかっこよかったんだと思ってしまいました。
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本書はレイアウトだけでなく、他の6章も同レベルの詳しい解説が充実しています。第2章は、「文字と文字組み」文字のしくみをはじめ、日本語フォント・英語フォントの文字の組み方、タイトルや見出しの組み方、本文の組み方、書体の選び方、デバイスごとに適したフォントの種類とサイズ、タイトルや見出しやコピーに使える文字の装飾など。
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第3章は、「色と配色」ディスプレイ・印刷に表示される色の仕組みをはじめ、色のトーンと感じ方、配色の考え方と色の数、主役の色のつくり方、脇役の色のつくり方、グラデーションのつくり方、色の見やすさと機能性、カラーテーマのつくり方など。
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第4章は「イラストレーション」、第5章は「インフォグラフィック」、第6章は「写真と動画」、第7章は「アニメーション」、もう本当にパワーポイントの解説書なの?って感じです。
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各章すべて、内容は非常に充実しています。たとえば「アニメーション」だと、アニメーションのつくり方をはじめ、時間と動きをどのようなバランスで調整すればよいのか、テンポの揃え方、加速と減速のつくり方、Webページのどこに使えばよいのかなど、伝えることを目的とした使い方が解説されています。
パワーポイント・デザインブックの目次
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パワーポイント・デザインブックの目次
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パワーポイント・デザインブックの目次
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パワーポイント・デザインブックの目次
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パワーポイント・デザインブックの目次
まさに、ノンデザイナー向けデザイン書の決定版の一冊でした!
本書を読んで、改めてデザインって面白くて奥が深いなと思いました。デザインに携わるすべての人にお勧めします。
献本の御礼
最後に、献本いただいた技術評論社の担当者さまに御礼申し上げます。
当サイトでは随時、献本を受け付けています。
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