シンプルなデザインは、奥が深い!ピクトグラムの選考委員を務めるサインデザイナーが専門家の視点からピクトグラムのデザインを解説したデザイン書
Post on:2021年8月20日
オリンピックでも注目を集めたピクトグラム、世界26ヵ国80都市のピクトグラムを一冊の本にまとめたビジュアル大図鑑を紹介します。
わたし達の日常で見かける非常口やトイレのピクトグラムをはじめ、駅や空港や商業施設、アクセシビリティやマナーなど、サインデザイナーによる鋭い視点の解説が楽しめるデザイン書です。
本書は8/17に発売されたばかり!
デザイナーはもちろん、ピクトグラムに興味のあるデザイナーではない人たちも楽しめる一冊です。
仕事でピクトグラムに携わっている、オリンピックでピクトグラムに興味が沸いた、世界の国ごとの文化の違いに触れてみたい、そんな人たちにお勧めです。こういった本は珍しいので、大切な人への贈り物としてもいいですね。
著者の児山氏は JSA(日本規格協会)とISO(国際標準化機構)の図記号(ピクトグラム)の委員も務めています。
Kindle版も同時発売!
版元様より許可をいただいたので、紙面のキャプチャを少しだけご紹介。
本書はピクトグラムの選考委員も務めるサインデザイナーによる、ピクトグラムの図鑑です。世界各国のさまざまなピクトグラムをはじめ、ピクトグラムに関する基礎知識、専門家の視点による解説などを楽しめます。
本書は、大きく分けて2部構成です。第1部は項目別のピクトグラムです。ピクトグラムの起源はヒエログリフや楔形文字と言われますが、正式に採用されたのは1964年の東京オリンピックです。競技種目のピクトグラムだけでなく、案内や誘導にもピクトグラムが採用されました。
第1部の1番目は「公共・一般施設」のピクトグラム。街中でよく見かけるインフォメーション、トイレ、バリアフリートイレ、ゴミ箱などのピクトグラムです。
「お手洗」のピクトグラムを少し見てましょう。現在使用されているピクトグラムにはいくつかの規格があります。その中の1つが上記右ページ左上のISOです。ISOが最も一般的と言われますが、実際にまったく同じ図案のものはほとんどありません。
上記左ページの左上のUSDOTのトイレピクトは、世界で最も多く見かけるピクトグラムです。円と直線だけでデザインされており、枠のありなし、枠の形状(円・矩形)など汎用性にも優れています。
非常口のピクトグラムは、1987年にISO登録された日本発のピクトグラムです。安全に関する基準は色彩や外形枠が厳しく規定されており、誰でも理解しやすく視覚的にも明快であることが重要です。世界共通のように思うかもしれませんが、色がグリーンではなくレッドだったら、グリーンでも形を変えたらどうなるかという実験的なピクトグラムも後半で紹介されています。
レッドのピクトグラムといえば、禁止ですね、最近ではこの禁止ピクトを見かけることが多い気がします。公園の入り口に行くとたくさんの禁止ピクトがありますね。
道路標識にもさまざまなピクトグラムが使用されています。またお国柄も出やすいピクトグラムで、脚が長長かったり、髪型がかわいかったり、持ち物がおしゃれだったりします。
日本もデザインに独自性があります。中折れ帽子をかぶっているのは、日本だけのようです。じっくり見たことはなかったのですが、言われてみればそんな帽子をかぶっていたような気がします。
第2部は国別のピクトグラムです。上記10ヵ国の国ごとの違いが一覧でき、イタリアのスリ注意ピクトのようにその国らしいピクトグラムもたくさんあります。
イギリスではBSI規格がありますが、統一したピクトグラムを使用するより、共通の理解が得られるのであればディテールは自由で、企業や団体自身のデザインスタイルに合わせることを第一にしています。
ピクトグラムの図案だけに頼らない使用方法をしているのは、アメリカです。ピクトグラムの横には文言と矢印が併用されています。
世界ピクト図鑑の目次
世界ピクト図鑑の目次
シンプルなデザインは、奥が深いですね。ピクトグラムはアクセシブルで、さらにユニバーサルでなくてはいけないので、非常に奥が深いです。デザイナー的視点だけでなく、世界の文化や風習なども楽しめる一冊です。
献本の御礼
最後に、献本いただいたビー・エヌ・エヌの担当者さまに御礼申し上げます。
当サイトでは随時、献本を受け付けています。
お問い合わせは下記よりお願いいたします。
sponsors