CSSでここまでできるとは驚いた! CSSを活用した本作りのワークフローを徹底解説した良書 -CSS組版Vivliostyle入門
Post on:2023年7月14日
CSSの解説書というと、通常はWebサイトやスマホアプリを実装するための知識やテクニックですが、今回は『CSSによる本作り』の解説書を紹介します。
原稿の執筆から、本のデザインやレイアウト、データ入稿まで、CSSを活用した本作りのやり方を徹底解説した解説書です。
表紙に「未知の表現力!」とあるように、CSSでこんなこともできるのかと驚きの連続でした。
本書は技術書で評判が高いリブロワークスさんの最新刊。当ブログでもVS Codeの解説書やJavaScriptの解説書を紹介しましたが、今回はCSSによる組版、本作りの解説書です。
マークダウンで原稿を執筆し、それをCSSでレイアウトし、本に仕上げます。本はWeb上でも書籍にもでき、本書自体もCSSで作成されています。
Kindle版も同時発売されています!
版元様より許可をいただいたので、紙面のキャプチャを少しだけご紹介。
「CSS組版ってどんなもの?」そこから疑問が湧いてくると思います。CSS組版とは、CSSやHTMLなどを使用して印刷物の版下を作成するものです。従来のDTPのワークフローとは大きく変わり、CSSなどのWebの知識が必要となります。とは言っても当ブログのビジターであれば本書を読むだけでできると思います。
もう一つ大事なポイントがあります。それがCSS組版用ソフトウェアの「Vivliostyle」です。オープンソースなので無料で利用でき、本書がそれで作成されたように日本語もサポートされています。Vivliostyleを簡単に説明すると、HTMLファイルを作成、CSSで組版して、PDFに書き出します。
Vivliostyleはブラウザ(Chromium)で動作するため、WindowsでもmacOSでも動作します。本書ではVivliostyleの導入手順なども解説されています。
本書は7章構成で、第1章はCSS組版の基礎知識と準備、第2章からさっそくCSSによる組版をはじめます。
原稿はHTMLで作成します(後ほど、マークダウンに)。ぱっと見、普通のHTMLだと思います。html
があり、head
があり、body
もあります。見出し要素やp
, div
、さらに画像を配置するfigure
もありますね。
CSSも特別なものを使用しているわけではありません。box-sizing: border-box;
にして、普通にWebページを実装するのとあまり変わりません。ただ比較的新しめのモダンCSSが使用されています。たとえば、margin
はmargin-left
ではなく、論理プロパティ(margin-inline-start
)が使用されています。
参考: CSSの論理プロパティの使い方を徹底解説、margin-block-start, margin-inline-endなど
もちろん、本や印刷物用のCSSも使用します。Webページでは改ページ用のプロパティ(break-before
など)はあまり使用していないと思いますが、見出しの前に改ページしたり、画像を版面に収めたり、書籍ならではのものがあります。
第3章はマークダウンでの原稿作成。HTMLで原稿を書くのは、HTMLに慣れている人でも面倒なものです。そこでマークダウンで原稿を作成し、マークダウンからHTMLを生成するツール(VFM)を使用します。
また、ページ数が多い本を作成する場合は、原稿ファイルを分割して、最後にそれらを連結すると効率的にできます。
第5章は、組版でよく使用されるものをCSSで実装するテクニックです。袋文字や丸付き数字をはじめ、画像や表組み、コード表示、縦書き、さらにはWebページ特に日本語サイトではあまり使用されないcolumn
による段組みなど、詳しく解説されています。
入れ子の見出し番号を自動で与えたり、ぶら下がりや行取りなんかもCSSで実装できます。また、レイアウトにはFlexboxやCSS Gridなんかも使用して高度なレイアウトを実装できます。
第6章は、いよいよ仕上げ。印刷所に入稿するための版下データを作成します。
最後の第7章は、オンラインの書籍制作サービスの紹介。Vivliostyle Pub(2023年現在アルファ版)を使用すると、HTMLやCSSやマークダウンを編集するエディタさえもなし、ブラウザ上で執筆からすべてが完了します。
CSS組版Vivliostyle入門の目次
CSS組版Vivliostyle入門の目次
CSS組版Vivliostyle入門の目次
CSS組版Vivliostyle入門の目次
CSS組版Vivliostyle入門の目次
CSSはWebサイトやスマホアプリだけでなく、スタイルを紙の印刷にも適用できることは知っていましたが、まさかここまでできるとは知りませんでした。普通のHTML、もしくはマークダウンの原稿を元にオンライン書籍も製本にもできます。一般の人が出版するとなるとかなり大変な道のりですが、これなら元手もそれほどかからずに挑戦できそうです。
献本の御礼
最後に、献本いただいた著者さま・C&R研究所の担当者さまに御礼申し上げます。
当サイトでは随時、献本を受け付けています。
お問い合わせは下記よりお願いいたします。
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