AIがWeb制作に与えている影響、Web制作の仕事を奪うわけではなく、どのような変化が起きているのか
Post on:2025年9月10日
sponsorsr
10年くらい前は、1年後を予測することは簡単でした。しかし、現在はAIの登場により1年後に何が起こるかさえ予測することはほぼ不可能と言えます。
この先どうなるかは誰にも分かりませんが、現在AIがWeb制作の仕事にどのような影響を与えているのか、またこれからどのような変化が起きるのかを考察した記事を紹介します。
CSSの変数を使ったデザインシステムの構築、AIにテキストベースの情報を提供するアクセシビリティ、プログレッシブ・エンベデッド・メディアの出現など、すでに変化が起きているものもあります。

Six bets on web development in the era of AI
by Valeria
下記は各ポイントを意訳したものです。
※当ブログでの翻訳記事は、元サイト様にライセンスを得て翻訳しています。
- はじめに
- 1. SEOは依然として重要
- 2. プログレッシブ・エンベデッド・メディアの出現
- 3. CSSはデザインそのものよりも、デザインシステムの構築に重点的に活用される
- 4. アクセシビリティはAIにとっても重要
- 5. MCPとLLMドキュメントの普及
- 6. シングルサインオンとパスワードレス認証の採用
- 終わりに
はじめに
結局のところ、AIが私たちWeb制作者の仕事を奪うことはないと考えても大丈夫でしょうか? SEOの専門家や昔ながらのWebマスターはどうなるのでしょうか?
未来がどうなるかは正確には分かりませんが、この件について私の考えを共有したいと思います。また、皆さんの意見も聞かせていただきたいと思っています。
1. SEOは依然として重要
現在、ChatGPTやClaudeのようなAIツールは主に3種類のデータソースに依存しています。1.内部のトレーニングデータ、2.コンテキスト情報(システムおよびユーザーのプロンプト)、3.従来型のWeb検索APIです。
システムはプロンプトが入力されると、Webから新しい情報を取得する必要があるかどうかを判断します。「ホテルを予約したい」「キャットフードを1袋購入したい」といったEコマース関連のリクエストの場合、AIは実際の販売者から最新のデータを取得する必要があります。なぜなら信頼できる情報は他の場所では入手できないからです。
だからこそ、構造化された明確なコンテンツ、セマンティックなマークアップ、エンゲージメントシグナルは、今日と同等あるいはそれ以上に重要になると私は考えます。
実際に、AIはコンテンツの品質と信頼性を測定する方法を学ぶ必要があると考えています。いわゆる「誰かが虚偽情報の提供で法的責任を負わない限り、ゲームに過ぎない」のです。データ(この場合はAIが生み出す粗悪なデータ)を浄化することは、次世代のAIツールに不可欠です。
2. プログレッシブ・エンベデッド・メディアの出現
ユーザーがWebサイトに直接アクセスすることがなくなることはないと思います。テキストや基本的なメディアだけに頼っていたらそうだったかもしれませんが、現実は違います。インタラクティブなWebコンポーネントこそがユーザーをページに長く滞在させ、副次的な効果として検索エンジンに良好なエンゲージメントシグナルを与えます。
わたし達はAIが明快で高速な構造化コンテンツを利用でき、そして人間にはアクセスしやすくリッチでインタラクティブなコンテンツを利用できるように提供していく必要があります。これらはAIツール内でも利用可能になるはずです。
3. CSSはデザインそのものよりも、デザインシステムの構築に重点的に活用される
チャット埋め込みのアイデアをさらに検討していくとすれば、AIチャットアプリはインターフェイスの外観について最低限の制御をしたいと考えるはずです。少なくとも、埋め込みが現在より目立たず、ツールのUIにシームレスに溶け込むようにあれば理想的です。
ダークモードとライトモードでも同様の取り組みをしてきましたが、今後はさらに一歩進んでカスタマイズ可能なデザインへと進化させるでしょう。CSSには既に変数が存在し、ChatGPT、Claude、Gemini、そして自社アプリ・Webサイト内で埋め込みアプリの見栄えを向上させるのに活用できます。
関連:
4. アクセシビリティはAIにとっても重要
たとえば、美容室の予約をとりたいとします。AIツールを使用して音声またはチャットで予約を依頼できます。
ディスプレイがないデバイス(ホームハブなど)を使用した場合、AIツールはスクリーンリーダーのように音声で情報を提供する必要があります。
そして、実際に美容室の予約をとるには、AIはページのスクリーンショットよりもテキストベースの情報を使用する方がはるかに消費電力が少ないため、AIは間違いなくテキストベースの情報を使用することを好みます。
5. MCPとLLMドキュメントの普及
モデルコンテキストプロトコル(MCP)はすでに広く普及しており、ほぼすべてのECサイトに導入されると思います。
最終的にどのような形式に落ち着くかは分かりませんが、MCPサポートなどの機能情報を機械と共有する手段が必要になるため、いずれはThe /llms.txt fileのような形式を採用する可能性が高いと思います。
6. シングルサインオンとパスワードレス認証の採用
AIがさまざまなプラットフォーム上でユーザーに代わって操作を実行する未来では、外部プラットフォームにおけるAIエージェントを安全に認証する方法が求められます。
もっとも有力な解決策はパスワード管理ツール、またはプロバイダによるシングルサインオン(SSO)の組み合わせになるでしょう。
これは同時に、メールやSMSで送信されるMFAコードが廃止され、パスキーに置き換わるか、少なくともパスワード管理ツールと共有可能なデジタルMFAコードに移行する必要があることを意味します。
終わりに
私のことをロマンチストだと思われるかもしれませんが、AIツールが真にユニークで人間が作り出すような高品質なコンテンツを生み出す姿を見たいと思っています。
確かに、画像生成や動画生成ではすこし回り道をしましたが、Sunoはなかなか良い音楽を作ってくれます。しかし、最終的にAIが新たなコンテンツを生み出すためにクリエイターを必要とする時代がすぐに来ることを願っています。正直なところ、その時はもうすぐそこまで来ていると思います。
ただ願うのは、作家、音楽家、研究者、詩人、芸術家、写真家、画家、そしてもちろんわたし達Web制作者までもがそのスキルと貢献を正しく評価させるようになることを願います。
あなたは、未来についてどう思いますか?
sponsors