絵の表面を見ただけでは分からない絵の知識を養える良書 -アートのロジックを読み解く 西洋美術の楽しみ方
Post on:2019年4月5日
絵の楽しみ方は人それぞれですが、絵の表面を見ただけでは分からないことを知るともっと楽しめるかもしれません。絵にこめられた時代背景、作者の意図、アートのロジックが解説されたお勧めの本を紹介します。
本書は古代美術から、中世、ルネサンス、バロック、ロココ、近代、現代美術まで、幅広く時代時代の西洋美術が詳しく解説されています。厚みのある知識を身につけることで、絵をさらに楽しめると思います。
版元様に聞いたところ、Kindle版をはじめ電子書籍の出版予定はない、とのことです。
紙面のキャプチャで、中身を少しだけご紹介。
本書はオールカラーで、読み応えばっちりの一冊です。絵の知識を学ぶだけでなく、作品集としても楽しめます。
1つの絵につき、4ページ構成されており、最初の2ページは絵の鑑賞と絵の解説や注目ポイント、後半の2ページはアートのロジックや作家や時代背景などが解説されています。
「最後の晩餐」の注目ポイントは、12人の使途の手の動きと背景描画のテクニックです。手の動きでそれぞれの心情がうかがえます。
また、この絵の大きな特徴は一点透視図法が使われていることです。イエスの右こめかみを消失点としており、放射状にのびる天井や壁面の線の効果で、光輪が見られます。
「ラ・ジョコンダ(モナ・リザ)」にはたくさんの絵画テクニックが使用されています。
「最後の審判」は現代でも鮮やかな色彩が使用されています。右は善人で、左は悪人なのを知っていましたか?
このくらいの時代になると光の演出が増えてきます。「トランプ詐欺師」は光でそれぞれの心理が描写されています。
フェルメールも人気が高い画家です。「牛乳を注ぐ女」も派手な光の演出はありませんが、重要な効果を与えています。フェルメールブルーと呼ばれる鮮やかなブルーにも注目です。
「散歩、日傘をさす女性」はモネの妻と息子が描かれたものです。陰影に使用されている色の移ろいが印象的です。
「星月夜」はゴッホ晩年の傑作の一つです。禍々しくそびえる糸杉と渦をまく星空は、一度見たら忘れられない一枚です。
「通りの神秘と憂愁」も一度見たら忘れられない一枚ですね。消失点が故意にずらされているため、見た人の平衡感覚をおかしくします。
西洋美術の楽しみ方の目次
- アートのロジック~人々を感動させる絵画の力
- アートの起源~地中海をゆりかごに育った西洋美術
- アートの発展~神の時代から人間の時代へ
- アートの革命~産業革命と芸術革命、激動の時代
- アートの多様化~印象派から現代へ加速する多様化の時代
古代から現代までのアートを十分に楽しめる一冊です。また、インスピレーションを得たり、テクニックを学んだり、アイデアを得るのにもよいと思います。
献本の御礼
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