アクセシビリティについて、WCAGから具体的な実装までしっかり学びたい人にかなりお勧めの一冊 -ウェブアクセシビリティの教本
Post on:2026年2月27日
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Webのアクセシビリティについて一度しっかり学びたかった、アクセシブルな実装ってどうやるの、最新の動向(WCAG 3.0やAIによる影響など)を知りたい、そんな人たちにお勧めしたい解説書を紹介します。
本書は先週発売されたばかりの最新刊、書店にも並んでいると思うでの、ぜひ手に取って確認してみてください。

著者は加藤 善規氏、見たことがある名前だ! と思った人は正解です。HTMLとCSSのリファレンス本の定番『Web制作必携 HTML&CSS全事典』(紹介記事)の著者で、本書ではHTMLとCSSのしっかりした知識を基盤にしたアクセシビリティについて詳しくていねいに解説されいます。
「いちばんやさしい」とあり、確かにやさしく教えてくれる感じですが、はっきり言って本書の中身は非常に濃いです。この「いちばんやさしい」シリーズは私の知る限り初心者を対象にした入門書ですが、本書はプロのWeb制作者向けです。
Kindle版も同時発売されています!
版元様より許可をいただいたので、紙面のキャプチャを少しだけご紹介。

本書は7章構成で、第1章「ウェブアクセシビリティの基礎知識」から第7章「これからのウェブアクセシビリティ」まで、アクセシビリティについてしっかり学べます。もちろん、各ガイドラインの概要やアクセシブルな実装なども詳しく解説されています。

第1章「ウェブアクセシビリティの基礎知識」では、アクセシビリティに取り組む上で必要となる知識についてです。アクセシビリティはユーザビリティと混同されがちですが簡単に説明すると、ユーザビリティは使いやすさと快適さ、アクセシビリティはすべての利用者が等しく利用できることです。
お店で例えると、ユーザビリティは商品の陳列が分かりやすい、店員の案内が親切などです。アクセシビリティは車椅子でも店に入れる、筆談ボードでコミュニケーションが取れるように準備されているなどです。

第2章はアクセシビリティに取り組む上でもっとも重要な「Webアクセシビリティのガイドライン」特にWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)です。WCAGは、Webコンテンツをより多くの人々に対してアクセス可能にするための国際的なガイドラインという位置づけです。
現在は2024年に勧告されたWCAG 2.2が国際規格となっています。

WCAGはレイヤー構造になっていて、土台となるのは4つの原則(POUR)です。
PはPerceivableの知覚可能で、「情報およびユーザーインターフェイスコンポーネントは、利用者が知覚できる方法で利用者に提示可能でなければならない」 OはOperableの操作可能で、「ユーザーインターフェイスコンポーネントおよびナビゲーションは操作可能でなかれならない」
UはUnderstandableの理解可能で、「情報およびユーザーインターフェイスの操作は理解可能でなければならない」RはRobustの堅牢で、「コンテンツは、支援技術を含むさまざまなユーザーエージェントが確実に解釈できるように十分に堅牢でなければならない」
言葉は難しく感じるかもしれませんが、Web制作者はすでに取り組んでいることが多いと思います。たとえば、知覚可能は画像の代替テキスト、操作可能はキーボード操作、理解可能は言語指定、堅牢は正しいマークアップ、などのことです。

ガイドラインの内容も大事ですが、デベロッパーにとって大事なのは適合レベルです。コントラストとかでAAAやAAを見たことはありませんか? このAAAやAAはアクセシビリティが優れているということではありません、このAAAやAAは適合レベルと呼ばれるもので、アクセシビリティを満たしているかどうかを示す段階的な基準です。
適合レベルAは、アクセシビリティに初めて取り組むときに無理なく対応可能な達成基準です。適合レベルAAは実用的で現実的な実装レベルで、企業や団体のWebサイトで目標とされる基準です。適合レベルAAAはもっとも高い達成基準で、デベロッパーにとっても習得困難な高度なスキルが要求されるものが含まれています。

2026年2月現在策定中のWCAG 3.0で何がどうなるのか、気になる人もいると思います。WCAGのガイドラインは後方互換性があるため、たとえばWCAG 2.2に適合していれば、WCAG2.0にも自動的に適合している状態でした。現在分かっている変更点としては、AAAなどの適合レベルが廃止されること、より多様な障がいのニーズに対応すること、デジタル出版やARやVRや音声入力などの新しい技術に対応すること、長期的に活用可能なモデルにすること、などが挙げられます。

第3章は「企業が取り組むべき理由と効果」公的機関をはじめ、多くの企業でWebアクセシビリティに取り組む動きがでています。社会的責任はもちろんのこと、2024年に施行された「障害者差別解消法」では事業者に対して「合理的配慮の提供」が義務化されました。2026年2月現在、Webアクセシビリティに法的義務はありませんが、より多くの人がコンテンツを利用できる状態を目指すのは当然であるという考え方が浸透しています。

第4章は「アクセシブルなウェブコンテンツを作る実装方法」デベロッパーはアクセシビリティにどうやって取り組めばよいのか、どのよな実装がアクセシビリティ上の問題を引き起こすのか、リファレンス本の著者ならではの詳しく解説されています。

自動で動き続けるカルーセルは、健常者でも利用しにくいと思います。表示されているのが画像だけであれば、まだいいかもしれませんが、そこに文字コンテンツがあると読み終える前に次のコンテンツが表示されてしまい、どれだけ速読を要求しているのか!と思ってしまいます。また、ブラウザ内に動き続ける要素があると、その動きが気になってしまい、他のコンテンツを読むときの邪魔になります。
解決方法はいろいろありますが、たとえば停止や一時停止の操作手段を提供するなど、本書では解決方法が実装コードとともに詳しく解説されています。

ほかにも、見出し要素が使われていない、感覚的な特徴に依存したコンテンツがある、色に依存したコンテンツがある、行間が狭すぎる、レイアウト重視によりHTMLの記述順が不適切、クリックやタップできる領域が小さすぎる、セレクトメニューで選択した瞬間にページ遷移する、パスワード入力欄がコピペ禁止、など実際のWebページでも見かけるアクセシビリティ上の問題が詳しく解説されています。

第5章は「ウェブアクセシビリティ対応の実装プロセス」アクセシビリティの方針の策定をはじめ、作業計画の立て方、検証のやり方など、実際のプロジェクトでどのようにアクセシビリティを取り入れればよいかが分かります。

アクセシビリティはクライアントに向けてだけではなく、チーム内、さらには組織内で社内プロジェクトとして取り組む必要もあります。チーム内、そして組織内で共通の認識を持つことで、誰もが一定の品質を保てる仕組みを実現することができます。

最後の第7章は「これからのウェブアクセシビリティ」ここ数年でAIが急速に浸透してきました。現在ではツールやサービスでも当たり前のようにAIが搭載され、仕事でも日常でもAIが活用されています。
WebアクセシビリティにおいてもAIは新たな可能性になりつつあります。AIにHTMLやCSSを書いてもらうだけではなく、視覚障がい者や弱視向けの画像認識、聴覚障がい者向けの字幕機能、など障がいの壁を取り除くAIツールも開発されています。
ウェブアクセシビリティの教本の目次

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アクセシビリティの書籍はけっこう読んできましたが、本書は確かに「いちばんやさしい」の通りで、しかもかなり詳しいところまで分かりやすく解説されています。
冒頭でも言いましたが、アクセシビリティやWCAGについてしっかり学びたい人にかなりお勧めの一冊です。
献本の御礼
最後に、献本いただいたインプレスの担当者さまに御礼申し上げます。
当サイトでは随時、献本を受け付けています。
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