WordPressをドメイン変更無しで、新サーバーに移転した手順の覚え書き
Post on:2018年2月20日
Twitterやブログでお伝えしたように、当ブログは先日新サーバーに移転しました。2回目のサーバー移転で、前回から9年ぶりとなります。
WordPressをドメイン変更無しで、新サーバーに移転した手順の覚え書きです。
参考: WordPress日本語サイト
移転した一番の理由は、旧サーバーでSSLにすると費用がかなり高くなることです。他にもアプリがアップデートできず使用したいものが利用できない、サービスの縮小化など、将来的に不安があるので、年契約が終了するこのタイミングで移転することに決めました。
新サーバーはもちろんこれらがクリアされており、まだ数日ですが、快適に利用させてもらっています。
- サーバー移転のスケジュール
- 1. 新サーバーの契約・旧サーバーの解約
- 2. WordPressのサイトデータのバックアップ
- 3. WordPressのデータベースのバックアップ
- 4. WordPressの設定や現況のバックアップ
- 5. 新サーバーのセットアップ
- 6. ドメイン設定: DNSレコード情報の更新
- 7. DNSレコード変更後の作業
サーバー移転のスケジュール
WordPressのブログをサーバー移転する際のスケジュールです。
- 新サーバーの契約・旧サーバーの解約
- WordPressのサイトデータのバックアップ
- WordPressのデータベースのバックアップ
- WordPressの設定や現況のバックアップ
- 新サーバーのセットアップ
- ドメイン設定: DNSレコード情報の更新
- DNSレコード変更後の作業
トータルの期間としては、2週間くらいでしょうか。
実質の作業時間はそれほどでもありません。
1. 新サーバーの契約・旧サーバーの解約
新サーバーに移転する前に、旧サーバーの契約が終了してしまうと、ブログが閉鎖されてしまうので、先に移転先を確保しました。
新サーバーと旧サーバーで重複期間が1ヵ月ほどあるのが、安心だと思います。
新サーバーの契約
旧サーバーの不満を解消でき、マネージド専用サーバーで探しました。選ぶのに時間がかかりましたが、今回は、KAGOYAのマネージド専用サーバーに決定。
契約してから利用できるようになるまで、各社で異なると思いますが、KAGOYAさんは契約して10分ほどで利用できるようになりました。
旧サーバーの解約
解約にも時間がかかる場合があります。私の場合は、1ヵ月前の申請で月末解約となるため、早めに申請しました。
2. WordPressのサイトデータのバックアップ
旧サーバー上のWordPressのデータをバックアップします。ついでに、不要ファイルなどがあれば、お掃除をしておくとよいでしょう。
※新サーバーと旧サーバーで、PHPやMySQLのバージョンが異なるため、新サーバーではWordPressは新規インストールすることにしました。
WordPressのサイトデータのバックアップ
移転に必要なバックアップファイルは、下記の通りです。
- WordPressのファイル
特に.htaccess、wp-config.phpなどの設定ファイルは重要です。 - 使用しているテーマファイル
- 使用しているプラグインファイル
特に公開が終了してしまったプラグインを利用している場合 - アップロードした画像などのファイル
- robots.txtやファビコンなど、他に追加したものがあればそのファイル
サイトデータのバックアップ方法
基本的には全て、FTPでファイルをダウンロードします。
使用していないテーマファイルやプラグインがあれば、同時に整理をします。
移転先をクリーンにしたい時は、WordPressの本体は新規にダウンロードしてセットアップするのも一つの方法です。
3. WordPressのデータベースのバックアップ
WordPressの記事やカテゴリのデータベースをバックアップする際は、大きく分けて3つの方法があります。
- データベース(phpMyAdmin)からエクスポート
- WordPressの標準機能からエクスポート
- プラグインを使用してエクスポート
バックアップをする前に、使用していないプラグインのデータなど不要なテーブルの削除をしておくとよいです。特に、AkismetやBroken Link Checkerは肥大化しやすいので、注意が必要です。
データベース(phpMyAdmin)からエクスポート
多くのサーバーで利用されているphpMyAdminを使用して、WordPressのデータベースをエクスポートします。
今回はこの方法を採用しました。
phpMyAdmin
- phpMyAdminにアクセスし、サイドバーから使用しているデータベースを選択します。
- 上部の「エクスポート」をクリックし、「Export method:」の「詳細」を選択します。
- 「フォーマット」を「SQL」にし、「Tables」からすべてのテーブルを選択します。
※「全選択」で一括ダウンロードができない場合は、一つずつ選択します。 - 「生成オプション」は、下記の項目をチェックします。
- DROP TABLE / VIEW / PROCEDURE / FUNCTION / EVENT / TRIGGER コマンドを追加する
- AUTO_INCREMENT value
- CREATE VIEW コマンドを追加する
- CREATE PROCEDURE / FUNCTION / EVENT コマンドを追加する
- CREATE TRIGGER コマンドを追加する
- 「実行」ボタンをクリックすると選択したデータのダウンロードが始まります。
生成オプション
エクスポート時の注意点
サイズが大きすぎて、ダウンロードエラーになる場合があります。その際はテーブルを一つずつダウンロードします。
データが文字化けしてしまうなど、ダメな場合は「WordPressの標準機能からエクスポート」をお勧めします。
WordPressの標準機能からエクスポート
WordPressの標準機能のエクスポートを使用します。エクスポートできるデータは、投稿、固定ページ、コメント、カスタムフィールド、カテゴリー、タグの6項目です。
※プラグインの設定などは含まれません。
WordPressのエクスポート
- WordPressの管理画面から、[ツール] - [エクスポート]をクリックします。
- 「エクスポートする内容を選択」を選択します。
- 「エクスポートファイルをダウンロード」をクリックするとデータのダウンロードが始まります。
プラグインを使用してエクスポート
WordPressの多くのプラグインで、データベースのバックアップをサポートしています。当ブログでの普段使いのバックアップとしても利用しているのが、「WP-DBManager」です。
WP-DBManager
- WordPressの管理画面から、[Database] - [Backup DB]をクリックします。
- 「Backup」をクリックすると、バックアップの完了です。
バックアップされたファイルは、サーバー上の指定したフォルダに生成され、プラグインやFTPやメールで取得することができます。
4. WordPressの設定や現況のバックアップ
サイトデータやデータベースのバックアップとデータ的には同じものが含まれますが、移転後のセットアップの確認に使用します。
WordPressの管理画面
- ダッシュボードの「概要」
- プラグインの一覧(特に使用中のもの)
- 各プラグインの設定
- カテゴリの一覧
- データベース(phpMyAdmin)の管理画面
- 生成していれば、サイトマップなども
上記項目をテキストやキャプチャ画像で保存しておくと、新サーバーにセットアップした際の確認に役立ちます。特にプラグインの設定は大切です。
5. 新サーバーのセットアップ
新サーバーが利用できるようにセットアップし、phpMyAdminとPHPのバージョンも確認しておきます。
今回は新サーバーでWordPressをクリーンな環境にしたいため、WordPressの本体はバックアップしたものではなく、新規にWordPressのセットアップしました。
WordPressのサイトデータのアップロード
サイトデータをFTPでアップロードし、WordPressのセットアップを行います。
- WordPressのファイルをWordPress日本語サイトからダウンロード。
- WordPressをサーバーにアップロード。
- WordPressの動作確認。
- wp-config.php, .htaccessなどはバックアップファイルを確認しながら作成。
- バックアップしたファイル(テーマ、プラグイン、画像など)をアップロード。
- テーマをアクティブ化。
- プラグインをアクティブ化。
この時点では、//coliss.comは旧サーバーを参照しているため、DNS設定変更前にドメイン名でアクセスするようにhostsファイルを変更します。
hostsファイルは、下記にあります。
- Windows 7,8,10
- C:\Windows\System32\drivers\etc\hosts
- macOS
- /private/etc/hosts
ツールバーの「移動 > フォルダへ移動」で「/private/etc」を入力
hostsファイルをエディタで開き、新サーバーのIPアドレスとドメインを記述し、保存します。IPアドレスとドメインは、使用するものに変更して記述してください。
1 |
1.1.1.1 example.com |
これで、ドメインで新サーバーにアクセスできます。
【重要】作業後は必ず、hostsファイルを元に戻してください。
WordPressのデータベースのインポート
データベースのファイルはエクスポートしたもので、インポートします。
- phpMyAdminからエクスポートした場合
- 上部の「インポート」をクリックし、「アップロードファイル」にファイルを選択し、「実行」をクリック。
- WordPressの標準機能からエクスポートした場合
- 管理画面から、[ツール] - [インポート]から「WordPress」を選択し、インポート。
- プラグインを使用してエクスポートした場合
- WP-DBManagerの場合は、指定フォルダにアップロードし、Manage Backup DBから「Restore」。
新サーバーのセットアップは、これで完了です。
6. ドメイン設定: DNSレコード情報の更新
DNSレコード情報の更新には時間がかかるため、「新サーバーのセットアップ」より先に実施してもよいかもしれません。
- 新サーバーのネームサーバーを確認。
- ドメイン管理しているコントールパネルから、ネームサーバーを変更。
DNSレコード情報の更新はすぐに反映されない場合があります。これは古い情報がDNSキャッシュサーバーに残っており、それを参照するためです。そのためドメインでアクセスしても、しばらくの間は旧サーバーのデータが表示されます。
TTLの時間設定を変更するとその分早くなるらしいですが、当ブログのドメイン管理先ではTTLの変更ができない仕様でした。
DNSレコード情報の更新
ドメイン管理会社によっては、DNSレコード情報を変更できる場合があります。当ブログのドメインMuuMuuDomainでは可能でした。その場合は、下記のように更新します。
IPアドレスとドメインは、使用するものに変更して記述してください。
- サブドメイン
- example.com
- 種別
- A
- 内容
- 1.1.1.1
7. DNSレコード変更後の作業
DNSの変更が反映され、hostsファイルを使用せず、ドメインでアクセスできるようになれば、最終確認を行います。また、WordPressのドメインに紐付いているサービスなどがあれば、正常に動作するか確認します。
sponsors