WordPressのそこが知りたかった!システムやデータベースについて詳しく分かりやすく解説された本格派の入門書
Post on:2017年1月27日
WordPressはPHPに詳しくなくても利用できます。しかし、表示を速くしたい、キャッシュがうまくいかない、バックアップができない、複数のサイトを運営したいなど、カスタマイズしたい時にはシステムやデータベースなどの知識が必要になります。
WordPressのシステム面を中心に、その機能や仕組み、現場で役立つ具体的なカスタマイズ方法や開発のポイントについて詳しく解説されたオススメの本を紹介します。
本書はWordPressのデザイン面はゼロ、HTMLとCSSの解説も最小限で、システム面が中心となっています。公式サイトにも詳しく説明されていないようなことが非常に分かりやすく、詳しく解説されています。
Kindle版は値段が少しお安めです。
紙面のキャプチャで、中身を少しだけご紹介。
本書は12章の構成で、基礎知識から専門的な知識まで約400ページにぎっしり詰まっています。最初はWordPressの概要とインストールからです。
WordPressのインストールは非常に簡単で、名前やパスワードなど5つ設定するだけで終わります。そして本書ではその次のステップで、デバッグ環境の構築です。わたしもデバッグ用のプラグインは利用していますが、かなり後に導入しました。デバッグの情報などは非常に少ないので、よい勉強になります。
プラグインの説明もContact Form 7, WP Super Cache, BackWPupなど、数は多くないですが、実用的なプラグインがしっかり解説されています。
バックアップやキャッシュは欠かせませんね。
5章からがいよいよ本番です。
WordPressの基本アーキテクチャについて、テーマファイルの構成、DBのテーブル、処理のフローなどが分かります。
データベースの主なテーブル
各テーブルに何が格納されているのか、どう処理されているのか。例えば試しに導入したプラグインの不要なテーブルが残っていると、それが原因でバックアップができないということもあります(Redirectionとか巨大なので)。
WordPressの実行シーケンス
WordPressのテンプレート階層図
WordPressのテーマは必要なファイルだけを使うようにします。表示するページに必要なテンプレートは要チェックです。
基本アーキテクチャの後は、カスタマイズです。まずはテーマを最小構成から作成します。どういったテンプレートを使うのか、タンプレートタグやループの使い方が詳しく分かります。
8章の投稿データと関連エンティティでは、wp_postsテーブルに保存されるデータにについて深く掘り下げられています。
実用的な子ネタも充実しています。
外部CSSやJSファイルを加える時、header.phpにlinkタグやscriptタグを使用する人も多いと思いますが、これは推奨されていない書き方です。APIが用意されており、JSの依存問題を解決したり、重複ファイルのロードを回避するなども可能です。
エンジニアのためのWordPress開発入門の目次
-
- WordPressとは
- WordPressで何ができる?
- ライセンス
- WordPressが持つ魅力
- WordPressのエコシステム
- WordPressと関わる際の心構え
- まとめ
-
- 環境の準備
- WordPressの準備
- 開発環境の整備
- WP-CLI -WordPressのコマンドラインツール
- VCCWによる環境構築 -Vagrantベースの開発環境
- まとめ
-
- 基本機能
- 表示オプション
- 投稿と固定ページ
- メディア -ファイル管理機能
- カテゴリとタグ -タクソノミー
- 投稿フォーマット
- テーマのカスタマイズ
- ウィジェット
- カスタムメニュー
- ユーザーと権限
- サイト設定
- まとめ
-
- プラグインによる機能拡張
- Toolset Types -エンティティの追加と構成
- Contact Form 7 -フォーム
- WP Super Cache -キャッシュ
- BackWPUp -バックアップ
- User Role Editor -ユーザー権限
- Adminimize -権限グループ
- Really Simple CSV Importer -CSVからのデータ取り込み
- Super Socializer -SNS連携
- WP-Polls -アンケート
- WP Total Hacks -WordPressでよく行うカスタマイズ
- その他の便利なプラグイン
-
- WordPressの基本アーキテクチャ
- ファイル構成
- データ構成
- 基本的な処理の流れ
- プラグインAPI
- ページの種類
- リクエストパラメーター
- メインクエリ
- クエリフラグ
- テンプレートの選択
- テンプレートタグとループ
- WordPressのソースコード
-
- テーマの作成・カスタマイズ
- テーマの作成
- ビューの構成
- テーマに関連したAPI
- テーマ作成のアプローチ
- テンプレートに利用する関数
- 作成したテーマのチェック
- まとめ
-
- プラグインの作成と公開
- プラグインの作成
- 公式ディレクトリへの登録
- まとめ
-
- 投稿データと関連エンティティ
- データ構成の概要
- 投稿タイプ
- カスタムフィールド
- タクソノミー
- コメント
- まとめ
-
- 投稿データの検索・取得
- WP_Query -WordPressの心臓部
- 基本的な使い方
- パラメーター
- その他のプロパティとメソッド
- メインクエリ中のWP_Queryに対して行える操作
- クエリビルディングへの介入
- まとめ
-
- ユーザーと権限
- ユーザーと権限の仕組み
- ユーザー操作に関するAPI
- ロールや権限の追加とカスタマイズ
- 権限のチェック手法
- まとめ
-
- 管理画面のカスタマイズ
- メニューのカスタマイズ
- Settings API -独自の設定画面の作成
- 投稿データ一覧ページに独自項目の追加
- カスタムフィールドの入力フォーム作成
- まとめ
-
- その他の機能やAPI
- wpdbクラス -データアクセスのためのDAO
- バリデーション・ナンス・サニタイズ
- オプションAPI
- JavaScriptやCSSの管理
- キャッシュ -一定期間のデータ保持
- ショートコード -動的な出力を得る
- ウィジェット -追加機能の実装
- マルチサイト -複数サイトの作成
- WP REST API -RESTfulなWebサイトの実現
- 国際化
- 自動アップデート
- メールの送信
- まとめ
本書はタイトルに「エンジニアのための」とありますが、エンジニアだけでなく、WordPressを運営している人や使用している人がシステム周りで困った時にも役立つオススメの一冊です。
献本の御礼
最後に、献本いただいた技術評論社の担当者さまに御礼申し上げます。
当サイトでは随時、献本を受け付けています。
お問い合わせは下記よりお願いいたします。
sponsors