IEでのブラウザ確認にまだ意味はあるのか?

IEでのブラウザ確認にまだ意味はあるのでしょうか?

2020年1月14日にWindows 7のサポートが終了し、翌15日にはChromium ベースのEdgeがリリースされました。そんな2020年の現在でもInternet Explorerでのブラウザ確認はまだ必要なのか、IEの現状とEdgeの登場でどう変わるのか、デベロッパーの目線で解説した記事を紹介します。

IEでのブラウザ確認に意味はあるのか?

Does Browser Testing On Internet Explorer Still Make Sense?
by Harshit Paul

下記は各ポイントを意訳したものです。
※当ブログでの翻訳記事は、元サイト様にライセンスを得て翻訳しています。

Internet Explorerでの確認に、まだ意味がまだありますか?

クロスブラウザの確認をする時、多くのWebデベロッパーが抱く疑問があります。

Internet Explorerでの確認に、まだ意味がまだありますか?

2020年、IEが最後にアップグレードされてから6年がすでに経過しました。2016年1月16日には、IE10以前のバージョンのサポートをMicrosoftは終了しました。つまり、Microsoftからセキュリティ更新や修正プログラムを受けているIEのバージョンは、IE11のみであることを意味します。このサポートは、Windows 7, 8.1, 10に適用されています。また、Microsoftはユーザーに、IE10以前のバージョンをIE11にアップデートするように促しています。
参考: 古いバージョンの Internet Explorer のサポート終了

2019年3月、MicrosoftのセキュリティチーフであるChris Jacksonは、IEの使用を可能な限り避け、より新しいブラウザに切り替えるよう人々に促しました。これはMicrosoftの公式ブログで読むことができます。
参考: The perils of using Internet Explorer as your default browser

過去10年のブラウザのシェアの推移

IEはかつてブラウザの市場シェアを独占していましたが、それはかなり前のことです。Google Chromeが登場すると、2012年から2013年にシェアを大きく伸ばし、現在ではIEを追い抜いています。

2009年から2019年、IEとChromeのシェアの推移

2009年から2019年、IEとChromeのシェアの推移
ブルー: IE、グリーン: Chrome

IEの市場シェアはこの10年、低下し続けています。その結果、Webデベロッパーはクロスブラウザ互換性プロジェクトに対するIEの関与について疑問を持ち始めました。2020年現在、Microsoftは最新のブラウザ「Edge」で市場シェアを獲得したいと考えています。

なぜInternet Explorerは終焉を迎えたのか

Internet Explorerは市場で最も古いブラウザの1つです。IEが登場した当初は、多くのユーザーのお気に入りでしたが、大きな欠点が1つありました。W3C(World Wide Web Consortium)標準に準拠されていなかったことです。このことは、Webデベロッパーにとって長年に渡る頭痛のタネとなっています。

クロスブラウザの互換性で問題になる根本的な原因は、このW3C標準に準拠されていないことです。モダンブラウザがブラウザ戦争をするにつれ、IEへの関心が少しずつ薄れ、シェアも低下しました。

IEの終焉を招いた理由はこれだけではありません。

  1. 機能が不足しており、アップデートが遅い。
  2. Microsoftは、新しいEdgeに力を入れている。
  3. ソーシャルの開発とセキュリティ。

最終的に、IEはデベロッパーのコミュニティから除外されました。IEに関するさまざまなフォーラムの多くはスレッドが古くなっています。現在、デベロッパーが興味を持つIEのスレッドはほとんどありません。
参考: Death Of IE

EdgeとInternet Explorer

2015年、MicrosoftはWindowsとXbox向けに、Microsoft Edgeという新しいブラウザを発表しました。その後、2017年にAndroid版とiOS版がリリースされました。しかし、IEによる大失敗の後、Edgeでブラウザのシェアを獲得することは困難な道となっています。現在のEdgeとIEのシェアは下記の通りで、EdgeはようやくIEに追いついたくらいです。

サイトのキャプチャ

2015年から2019年、IEとEdgeのシェアの推移
暗いブルー: IE、明るいブルー: Edge

2019年の時点で、Edgeのシェアは2.06%であるのに対し、IEは1.57%に落ち込んでいます。

Internet Explorerがまだ使用されているのはなぜですか?

企業がInternet Explorerを使用する主な理由は、以下の3つです。

  1. 基幹業務ツールとブラウザの互換性
    多くの基幹業務ツールがIE用に設計されており、それらを無視すると、企業にとって壊滅的な影響があります。これらの基幹業務ツールで作業する唯一の方法は、IEの古いバージョンを使用することだけです。それらの中には、IEでしかアクセスできないActiveXコントロールも含まれています。
  2. 研究および研究ベースの認定には更新が必要
    もう1つの理由は医療や製薬などでは、IEの古いバージョンを使用してFDAなどの連邦認証を取得していることです。最新のブラウザにアップグレードしてしまうと、それらの企業は新しい連邦認証の申請を強制されます。
  3. 企業用のツール
    企業レベルの会社は、SUS(System Usability Scale)やグループポリシーなどのツールを使用して、組織内の数百または数千のシステムを処理しています。これらのツールは他のブラウザよりもIEでより適切にサポートされています。

古いバージョンのInternet Explorerはどうですか?

W3Counterの調査によると、IE6とIE7は2019年12月時点でシェアは0%で、IE8以降は低いシェアを得ています。

IEのバージョン ブラウザのシェア
8 0.3
9 1
10 0.1
11 2.3
IE8, 9, 10, 11のシェア

IE6, 7, 8, 9, 10, 11のシェア

またDAPによると、アメリカの政府サイトにアクセスした過去90日間の34億9000万人のビジターの環境は、下記の通りです。

政府サイトにアクセスした環境の内訳

政府サイトにアクセスした環境の内訳

IEでの訪問は34億9000万のうち6.2%を占めており、これは重要な数字です。IEのバージョンは、IE11が5.7%、IE7が0.5%、その他のIEが0/1%未満となっています。

この結果から、IEのどのバージョンでテストするかは、事業を展開する国によってかなり幅があることが分かります。

それにもかかわらず、IEを既定のブラウザとして使用することはほとんど期待できません。また、IEの衰退によって悩まされていたEdgeはどうなるか疑問に思っているかもしれません。MicrosoftはEdgeについて何らかの計画をたてているように思われます。

昨年の2019年4月、Microsoft EdgeはChromiumベースのMicrosoft Edge for Windowsを発表しました。そして、2020年1月、Chromiumベースの新しいMicrosoft Edgeがリリースされています。
参考: Chromium ベースの新しい Microsoft Edge をダウンロードする
※自動更新は確定申告でe-Taxを利用するユーザーを考慮して、4月以降に予定。

ChromiumベースのEdgeでどう変わるのか?

Chromiumベースになるということは、Edgeがブラウザエンジンに移行することを意味します。Edgeは当初、独自のEdgeHTMLとChakraエンジンを開発していましたが、これがChromiumベースになり、V8エンジンを使用する予定です。

Chromiumに変わることで、モダンなWeb標準やデベロッパーのコミュニティとの連携が確実に向上します。ただし、簡単なことではありません!

Microsoftの公式ブログ記事に対する以下のコメントは、デベロッパーが新しいMicrosoft Edgeブラウザに依存するのに苦労することを示唆しています。

MicrosoftがWidows10で競争力のあるブラウザを提供していれば、問題は発生してなかったでしょう。あなた達はInternet Explorerを使わないように警告していますが、代わりにどのブラウザを使うかのアドバイスはしていません。

その答えは簡単です、Google Chromeに乗り換えるべきです。私はMicrosoftがChromiumベースの新しいブラウザを開発していることは知っていますが、真面目な話し、なぜですか?

どこを信頼すべきでしょう? 長年ブラウザの開発に苦労している会社ですか? あなた達がモダンな高性能ブラウザを提供できることが証明されているのでしょうか?

テスト担当者はInternet Explorerについてどう思っていますか?

2019年の暮れ、IEについてテスト担当者に聞いてみようと考えました。
IEをクロスブラウザのテストに入れてますか?

下記がその調査結果です。回答者の75%がIEをクロスブラウザのテストに入れることに賛成しています。このことから、IEはQAのチェックリストの一部であることが分かります。

IEのアンケート調査

IEをクロスブラウザのテストに入れてますか?

問題: macOSでIEのテストするにはどうすればよいですか?

1998年から2003年まで、MicrosoftのInternet ExplorerはmacOSのデフォルトブラウザでした。AppleとMicrosoftのパートナーシップはIEを採用したことで、信じられないほどの成長をもたらしました。その後、Safariが登場し、macOSのデフォルトブラウザとして設定されため、その期間は5年しか続きませんでした。

Microsoftによって開発されたIEは、macOSから取り除かれました。現在では、ダウンロードすることさえできません! macOSを使用している場合、クロスブラウザのテストはどのようにすればよいでしょうか?

いくつか選択肢があります。これで、macOSでもIEのテストをすることができます。

  1. オンラインのブラウザテストツール
  2. ローカル仮想マシン
  3. RemoteIEおよびmodern.IE
  4. 仮想マシン
  5. Microsoftリモートデスクトップアプリケーション
  6. IE Tab
  7. Boot Camp
  8. SafariのIn-Built Develop Menu

これらのツールを使って、macOSでIEのテストをする方法は下記をご覧ください。

まとめ

Internet ExplorerはW3C標準に準拠していなかったため、失敗しました。また、モダンブラウザがリリースされ、IEはシェアを大きく奪われることになりました。その結果、Microsoftはシェアを失うことを恐れ、Microsoft Edgeという新しいブラウザを開発しました。EdgeはMicrosoftのかつての栄光を得るためのものでしたが、実際はシェアが低下したIEに追いつくのにさえ苦労しました。

IEは最終段階にあるかもしれませんが、すぐに消えてなくなるわけではありません。特に、企業、医療、政府で使用されている理由を考えてみてください。

chromiumベースのEdgeは、機能を強化することになっています。時が経てば、分かるでしょう。ただし、クロスブラウザのテストの観点から見ると、デベロッパーとテスターにとって移行がスムーズになることを意味します。

また、わたし達がアンケートした結果、大多数の人はクロスブラウザのチェックにIEを組み込むとしています。では、macOSでIEのテストをするにはどうすればよいでしょうか?

最善の方法は、LambdaTestのようなクロスブラウザのテスト用クラウドです。ローカルのインフラやブラウザの最新バージョンを気にすることなく、数多くのブラウザでテストできます。Selenium Gridをオンラインで自動テストすることもできます。プロジェクト管理ツール、CI/CDツール、コードレス自動化ツールなどへのLambdaTest統合により、コラボレーションが向上します。
Happy testing! 🙂

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