イラストにおける遠近法を使った構図の上手なつくり方 -基本と透視図法の描き方
Post on:2016年5月13日
遠近法をきちんと理解することは、イラストを描く時の基盤がしっかりし、あなたのテクニックを高いレベルに導く原動力になります。
プロのイラストレーターで講師でもあるMatt Laskowski氏が解説する遠近法を使った構図のつくり方を紹介します。
Perspective Drawing: Creating Illustrations with Dimension
illustration: ©Matt Laskowski
下記は各ポイントを意訳したものです。
※当ブログでの翻訳記事は、元サイト様に許可を得て翻訳しています。
遠近法を使った構図のつくり方: 基本の1点透視図法
PerspectiveとComposition、遠近法と構図は切っても切れない関係です。
シーンの中に遠近法をうまく取り入れると、効果的な構図が生まれます。逆に遠近法がおかしいと、構図もおかしくなります。
遠近法を語る上で最初に重要なのが、水平のラインです。この水平のラインはどんなシーンでも遠近法の基本的なコンポーネントです。ラインに対して何が上にあり下にあるのか、高いのか低いのか、またどこに向かっているのかを決定します。
水平のラインはもしかすると、わたし達の目で見ることができるもっとも遠い地点を表現するかもしれません。いわゆる地平線で、地面と空の合流地点です。
1点透視図法は遠近法において基本となるものです。
地面と空が合流する水平のラインはすべてのディテールも合流するところなので、論理的にわたし達は視点に基づいてオブジェクトがどこにあるか決めることができます。
1点透視図法では、すべてのディテールが水平のライン上にある1つの点に集まります。この点は消失点と呼ばれるものです。
垂直のものはすべて垂直に、水平のものはすべて水平に描きます。それ以外の斜めのラインは、オブジェクトの端から水平ラインの消失点に向けて描きます。この斜めのラインは「orthogonal(直交)」と呼ばれるものです。
1点透視図法の実用的な使い方を見てみましょう。
主に直線的に見えるときによく使われます。例えば、道路、トンネル、電車やバスの中、道がある屋外の光景、道を見下ろしていたり、上方や下方をまっすぐ見ている時などです。これらのシーンは、1点透視図法で描くのが適しています。
基準となる水平のラインを決め、オブジェクトの垂直は垂直に、水平は水平にし、それ以外のラインはすべて消失点に向けて斜めに描きます。
遠近法を使った構図のつくり方: 2点透視図法
1点透視図法はオブジェクトをまっすぐ正面から見た状態でしたが、オブジェクトを斜めに見る時は2つの消失点が必要です。
2点透視図法は左右2つの消失点と2組の直交を利用し、通常は垂直であるオブジェクト上に平行線をセットします。
2点透視図法はわたし達が実際に目で見ている光景と同じように描かくことができ、もっともよく利用される構図の一つです。
どこから見ているかは視点(Point of View)ではなく、視野(Field of View)で決定します。ただし、視野を広げることとズームするのを間違えないでください。これらは明らかに異なります。
まずは水平ライン上の2つの消失点がどれだけ近いか、離れているかが重要です。もし近いのであれば、ワイドスクリーンの映画を普通のスクリーンで見るようにぎゅっと詰めた感じになります。離れているのであれば、ズームインしない状態でより少ないシーンを見ていることになります。
ズームレベルと視野はしばしば協力して機能します。ズームアウトする時は同時に消失点はより近くなり、視野が広角になります。ズームインする時は消失点は離れ、視野が狭くなりサイズが大きくなります。ズームアウトした時もズームインした時も、遠近法は変化しません。
キャンバスの中でそのシーンをちょうどよい大きさにするには、どこにズームインしているかクロップして決めます。
遠近法を使った構図のつくり方: 3点透視図法
いよいよメインでもある3点透視図法です。
3点透視図法は下から見上げたり、上から見下ろしたもので、3番目の新しい消失点を使用します。水平のラインに2つの消失点を設定し、見下ろす時は下に3番目の消失点を加えます。
3番目の消失点はほとんどの場合、画面の外に配置され、オブジェクトの垂直は垂直ではなく、消失点に集約されます。
見上げる時は水平のラインの上に消失点を作り、水平のラインからどれくらい離れているかで視野角が変化します。
例えば真っ直ぐに立って見ているシーンは1点透視図法です。少しでも斜めのアングルで見ているシーンには、3点透視図法を使用しなければ構図がおかしくなります。
遠近法を使った構図のつくり方: 実践テクニック
最後に遠近法を使った構図のつくり方の実践テクニックを紹介します。
視野の高さでオブジェクトの大きさを表現することができます。これは地面からどれだけ離れているか、その量が多ければサイズも大きく、少なければサイズも小さくなります。
例えば、部屋の中のテーブルやベッドをネズミの目線で見た時を想像してみてください。視野の高さを低い位置に設置すると、オブジェクトは劇的に大きく見えます。
もう一つ実践的な使い方を。
例えばテラスやベランダなどの等間隔に並んだ柵を描く時、その間隔を同じように見せるにはどうすればよいでしょうか?
まずは、遠近法を使って廊下を正確に描きます。そして両端の柵を描き、上下の点をクロスさせて三角形を2つ作ります。三角形の交点が真ん中の柵の位置で、あとは三角形をつくる作業を繰り返します。
このテクニックは2つのオブジェクトの中間点を見つけることができます。
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